過去ログ - 武内P「あだ名を考えてきました」
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917:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/22(火) 02:47:20.37 ID:IjUSJCFQo

「そんなに、上手に出来たんですか?」


 くすくすと笑いながら、問いかける。
 彼は、お鍋の蓋を開けながら、自信作です、と言った。
 少しだけ冷めちゃったかもしれないけれど、まだ、ホワリと湯気が立ち上っている。
 中身を横から覗いて見てみると、美味しそうな、ネギ入りの卵粥。


「病気の時は栄養を取るべきだと、そう、思いまして」
「病人じゃありませーん♪」


 えっと、確か、鉄分をとるために卵黄は食べた方が良いのよね。
 これでも、色々と調べたんですからね?
 ……尤も、わかったのは今日で、ちょっとだけしか覚えてないですけど。
 でも、まだそれを知らない彼が卵粥を選んだのって、不思議で、素敵。


「一人で、食べられそうですね」


 さっきまでの心配そうな様子は、鳴りを潜めている。
 どうやら、私が思った以上に元気で、安心したらしい。
 それがなんだかちょっぴり寂しくて、もっと甘えたくなっちゃった。


「無理です」


 甘えても、良いでしょ?


「一人じゃ、食べられません」


 ベッドに座りながら、目を閉じて、顔だけをぷいと横に向ける。
 薄目を開けてチラリと彼を見ると、右手を首筋にやって困ってる。
 ふふっ! 安心したら、あーんしたら、良いと思いますよ、うふふっ!



「……子供ですか」



 あっ。


「ピンポーン♪ 正解でーす♪」


 彼の方へ向き直り、言う。


「えっ?」
「あっ」


 今のって、私に言ったのよね。
 もうっ、間違って正解だって言っちゃったじゃないの!


「子供……ですか?」


 落ち着かない様子で、彼は、お鍋の蓋を閉じてテーブルに置いた。
 そんな彼に、私は言葉を返さず、ただ、笑顔を返した。


 けれど、結局、彼の自信作のお粥は冷めちゃった。
 あっ、ちゃんと温め直して、美味しくいただきましたよ?



おわり


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