39:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/16(金) 00:05:01.52 ID:g+ryXGAuo
「……――おはようございます」
帰ろうと思ったタイミングで現れるなんて、何て間の悪い人なのかしら。
失礼だとは思いながらも、出会ってしまったのなら、挨拶をしなきゃ。
両手を前で組み、深々とお辞儀をする。
ちょっぴり抗議するように、いつもより、ことさら丁寧に。
「おはようございます」
対する彼は、いつも通りの挨拶。
顔を上げて視線を向けると、やはりいつも通りの無表情がそこにあった。
とても大柄なこの人と視線を合わせるためには、少し上を向かなくてはいけない。
だけど、今は、誰かと視線を合わせる気にはなれない。
「あの……」
いつもは目と目を合わせているが、今日はそれをしない。
その事を不審に思ったのか、彼はおずおずと、話を切り出してきた。
珍しい。
些細な変化だというのに、この人は今日の私が変だと気付いたのかしら。
そういう事が出来る程、器用な人だとは思わなかった。
「何か……御用でしょうか?」
けれど、彼が発した言葉は私が予想していないものだった。
御用? 貴方から先に声をかけてきたんじゃありませんか。
それなのに、私に尋ねるのは違うと思います。
「いえ……」
駄目。
今の私は、本当に駄目。
変に口を開いたら、目の前のこの人に八つ当たりをしてしまいそう。
「……兎に角、中へどうぞ」
無言で立ち尽くす私に、彼は、私の横にある扉を指し示し言った。
何てことはない。
ブラブラと歩く内に、私がシンデレラプロジェクトの、
プロジェクトルームの前に辿り着いていたから、この人は声をかけてきたのだ。
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