43:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/16(金) 00:51:41.30 ID:g+ryXGAuo
「……」
お違い無言で、言い合う。
負けるわけにはいかないわ。
私の――アイドル高垣楓の後ろには、ファンの方達がついてくださっているから。
こんな、デリカシーの無い人に、負けてなんていられない。
「……」
どれほど視線を交わしていたのだろうか、わからない。
だけど、勝敗はついた。
「……!」
勝ったのは――私。
アイドルとしての意地が、この人のプロデューサーとしての意地に勝った。
ふふっ、勝敗がついて、たしょうハイになっちゃうわ!
どうだ、と視線に乗せて彼を見ると、
「……」
さっきまでの雄弁さは、どこかへ行ってしまったのかしら。
その表情は、無表情というより、ただ、ボウっとしているといった風。
心ここにあらず、とでも言えばいいのか……とにかく、ちょっと変。
「あの……?」
これは、不思議に思ったから声をかけただけ。
それに、先に声を出した方が負けだなんてルールじゃなかったですから。
「っ!? あ、いえ……申し訳、ありません」
私が声をかけると、彼は驚いて体をビクリと震わせた。
「その……高垣さんの瞳に……はい、見惚れて、しまっていました」
彼が右手を首筋にやりながら放った言葉は、見事に私を貫いた。
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