46:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/16(金) 01:47:42.70 ID:g+ryXGAuo
「お得……ですか?」
言うに事欠いて……お得?
「……申し訳、ありません」
今の言葉は失敗だったと思ったのだろう。
彼は、右手を首筋にやって、さっきまでとは別の困った感情を瞳に浮かべた。
「お得……」
普通、そんな事言います?
「お得って……――ふふっ!」
悩んでいる人間に対して!
「ふふっ……うふふっ! お得って……ふふふっ!」
……本当に、ずるい人。
不器用で、無口で……そして、とっても誠実で。
そんな貴方の発する言葉だからこそ、それで良いのだと思えてしまう。
「……」
笑いだした私を見て、また困った顔をする彼。
それがまたおかしくて、大声で笑ってしまう。
今この場に居るのは私達だけだから、気にする必要はありませんよね?
「ああ、おかしい!」
私の左右の瞳の色が違うのは、お得なのね。
うふふっ、そんな風に考えるだなんて、思ってもみなかったわ!
さっきまでとはうって変わって笑い転げる私に、
「良い笑顔です」
と、彼は真っすぐ、言った。
彼の目の色が変わっていたが、その目はプロデューサーとしてか、ファンとしてか。
はたまたそれ以外の何だったかは、私にはわからなかった。
おわり
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