59:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/16(金) 22:59:14.69 ID:g+ryXGAuo
「っ……!?」
動揺、そして、緊張が私を支配した。
プロダクション内の一角。
私の視線の先に、一人の少女が壁にもたれかかりうずくまっていた。
あの、特徴的な髪型は見覚えがある。
「大丈夫ですか!」
思わず、大声が出た。
走り寄る時の革靴が立てる音が、廊下に響き渡った。
彼女に駆け寄り、すぐさま腰を落とし顔色を確認する。
「っ……!」
彼女の顔は真っ青になっていた。
額には脂汗が浮かび、何かに耐えるように、唇は引き締められている。
その歪んだ表情は、彼女の体調に異変が起きている証拠。
一刻も早く、何とかしなくてはならない。
「すぐに、人を呼びます!」
携帯電話を取り出し、画面を立ち上げる。
パスコードを入力するのが、こんなにももどかしいと思ったのは初めてだ。
「待って……!」
だが、彼女は震える声で私の行動を制止した。
その目に込められた意思は、まるで体の弱さを感じさせない、とても強いもの。
流石はアイドルと言った所なのだろうが、そうも言っていられない。
「いえ、待てません」
担当は違えど、私はプロデューサー。
アイドルを助けるのは、プロデューサーの……いや、
今にも崩れ落ちそうな少女を助けるのに、理由など必要では、無い。
「待って! お願い――って、あっあっあっあっ!?」
……なんだ、この素っ頓狂な声は?
私は、思わず携帯電話を操作する手を止めた。
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