過去ログ - 武内P「起きたらひどい事になっていました」
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904:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/11(日) 02:18:52.30 ID:xh6dBKoFo

「プロジェクトのメンバーは……最近は、すぐにドアを開けてしまいますから」


 私もそれに慣れてしまって、と、プロデューサーさんが言葉を続けます。
 これは、恐らく……この人なりの、冗談なのでしょう。
 明らかに緊張する私をリラックスさせようと……してくれて居るのかも知れません。
 いえ、きっと、そうに違い無いのでしょうね。
 私が聞いていた貴方の人物像は、こういった冗談を言うものではなかったですから。


「そう……なのですね」


 今、私がするべきことは、それを申し訳なく思う事ではありません。
 この人の気遣いを無駄にしないためにも、早く、普段の調子を取り戻さなくては。
 そうでなければ、不慣れな事をさせているという自責の念で潰れてしまいます。
 そして、きっとそれは私も、この人も望む所では無いでしょうから。


「ええ……少し、困り物です」


 冗談で言っていらしたつもりだったのが、少し、本気で困っている調子に。
 私の想像では、とても頼もしい方だったのですが……不思議と、
男の方にこう思うのは失礼かも知れませんが、可愛らしい、と思ってしまいました。


「……」


 なんて、そんな事は口には出せませんね。
 けれど、今だったら奏さんがこの人の事を「チャーミング」と評していたのがわかります。
 背がとても高く、顔は……知らない人だったならば、避けて、しまうかもしれません。
 だからこそ、ギャップ、と言うもので、余計に可愛らしく思えてしまうのでしょう。



「――良い、笑顔です」



 言われて、初めて私が笑っていた事に気付きました。
 そして、先程までは意識していなかった心臓の鼓動の音が、より大きな音で鳴り響いています。
 ドクリ、ドクリと流れる血液が、私の顔を朱に染め上げているのがわかります。


 このままでは、此処に来た目的を果たせなくなってしまいます。
 また、倒れるような事になってしまっては、今度はもっと緊張してしまいます。
 お願いします……だからどうか、今は、私に微笑まないで下さい。



おわり


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