過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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267:名無しNIPPER[saga]
2017/12/18(月) 00:22:28.83 ID:78VDBhPt0
ヤラセ――アタシ達は、勝つ事を望まれてはいなかった。
それを、あの人は知っていた。
知ってて、それを隠した――そして、それでもなお、より良いステージにしようと、彼なりに最大限力を注いだ。
268:名無しNIPPER[saga]
2017/12/18(月) 00:26:56.90 ID:78VDBhPt0
ほら、こうして突然難しそうな話を語り出した。
アタシは物理専攻だったけど、この間返却されたテストの苦い思い出が、頭のむず痒さと一緒にぶり返す。
志希ちゃんに勉強の邪魔をされた記憶も。
そんな気も知らず、志希ちゃんは手すりから身を起こし、ブラブラと歩きながら右手の人差し指をあっちこっちに振ってみせた。
269:名無しNIPPER[saga]
2017/12/18(月) 00:30:13.43 ID:78VDBhPt0
「アタシは落ち葉なんていらないけどね」
冗談っぽく返した。これ以上、志希ちゃんのペースに乗せられるのも癪だ。
でも、志希ちゃんはそんなアタシの答えすら期待していたかのように、ますます嬉しそうに笑った。
270:名無しNIPPER[saga]
2017/12/18(月) 00:33:10.17 ID:78VDBhPt0
「!? ど、わあぁっ!?」
アタシの胸にタッチしたのだ。なっ、な――!
「何すんのっ!!」
271:名無しNIPPER[saga]
2017/12/18(月) 00:35:43.81 ID:78VDBhPt0
振り返ると、ムスっとした表情でこちらに歩いてくるあの人が、遠方に見える。
「にゃははー♪ やーっぱり怒ってる。人を怒らせるのは案外簡単かもね、これも一つの再現性。
美嘉ちゃん、心当たり無い?」
272:名無しNIPPER[saga]
2017/12/18(月) 00:38:44.23 ID:78VDBhPt0
――ど、どういう事?
「ウブな“誰かさん”に気づかれないよう、せっかく段取りをしていたのに、余計なお節介から今日その子に誘われちゃって、断るに断りきれず、無理矢理ダブルブッキングを敢行していたとしたら?」
273:名無しNIPPER[saga]
2017/12/18(月) 00:42:09.16 ID:78VDBhPt0
「いやいや、そんな器用な人じゃないと思うよさすがに」
夕食時という事もあり、ふらっと入ったファミレスは十分広いにも関わらず、ほとんど満席だった。
それでも、さほど順番待ちもしないで、ちょうど窓際の奥の方に座れたのはラッキーだったと思う。
274:名無しNIPPER[saga]
2017/12/18(月) 00:44:58.68 ID:78VDBhPt0
「おっ。はい、奏先生」
ひょうきんに周子ちゃんが手を挙げた。
「何かしら、周子さん?」
「逆に考えたらどう? ほら、元々美嘉ちゃんは志希ちゃんとプロデューサーの仲を取り持とうとしたワケでしょ?
275:名無しNIPPER[saga]
2017/12/18(月) 00:48:11.35 ID:78VDBhPt0
「ごめん、って謝ったということは、あの人にも後ろ暗い、やましい思いがあったのかも知れないわね」
アタシの携帯の画面を見ながら、冷静に奏ちゃんが分析をすると、周子ちゃんが蠅を払うように手を振った。
「無い無い。何かよく分からないけどとりあえず謝っときゃいいだろ、ぐらいなもんでしょきっと。
あたし自身そうだから分かるけど、あの人思った以上にテキトーだよ」
276:名無しNIPPER[saga]
2017/12/18(月) 00:51:05.77 ID:78VDBhPt0
「あのさ、皆。一つ確認なんだけど――あの人にスカウトされたのって、この中だと誰がいたっけ?」
スプーンを持つ手を止め、皆がアタシの方に顔を向けた。
「えーと、あたし――あれ、あたしだけ?」
277:名無しNIPPER[saga]
2017/12/18(月) 00:54:09.37 ID:78VDBhPt0
「えっ? い、いやぁ――」
一瞬戸惑い、周子ちゃんは首の後ろを掻いて、天井を見上げた。
「あら、照れているの?」
「そりゃーねぇ? っていやいや違うって」
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