過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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411:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 21:23:42.36 ID:Ae62FiCR0
「いいえ、最後まで聞かせてもらうわ」
 ここまで来て、事の顛末を私だけ知り得ないなんて許されない。
 何より、私の仲間――LIPPSのメンバーに関することなら、なおさら聞かせてもらう他は無いもの。

「あなたは、それで良いんですか?」
 彼がプロデューサーに尋ねる。

 プロデューサーは、ようやくコーヒーにミルクを入れながら、答えた。
「彼女に聞かせられないような内容なら、そもそもこんな人目に付く所で話さなきゃいい」

「分かりました」


 チーフは、一つ息を吐いて、少し俯いたまま語り出した。

「個人的に、僕がすごく嫌だなと思っていたのは、いわゆる業界の裏側でした。
 アイドル業界なんて、結局は予定調和ばかりで、お偉方のお気に入りがいれば、その子ばかりが重用されていく。
 もちろん、そういう側面が全てとは言いませんが、その余波でチャンスを得られずに涙を呑む子達があまりに多いんです」

「あんたが以前担当していた城ヶ崎さんは、そうではなかったはずだが」
 プロデューサーが質すと、彼も首肯した。

「もちろんです。美嘉ちゃんは僕が手塩にかけて育てた子ですが、それ以上に彼女には才能も、向上心もあった。
 一方で、美嘉ちゃんはそれこそ、事務所の都合でキャラ付けされ、ゴリ押しで売り出されたようなものでした。
 それでも、彼女は全てを理解して、腐らず、弱音も吐かず、一途にコツコツと実力と実績を積んで来たんです」



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