過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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489:名無しNIPPER[sage]
2017/12/20(水) 19:25:49.02 ID:9ot0ffejO
早いね
490:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:26:37.30 ID:m6szqZZ10
「まーあれッスよ、あの子達に言いたくないんなら、オレ達が聞きまスよ」
「ヤァさんは酒の肴にしたいだけでしょ?」
「よく分かったな、寝る前の恋バナみたいでおもしれーじゃん」
「人の話を面白いって」
「まーまーアリさん! オレらにまず話してみればさ、ほら、この人も何つーか心のハードルが下がってあの子達に言いやすくなるかも知んねーじゃないッスか」
491:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:28:08.76 ID:m6szqZZ10
小さい頃は、親父の膝の上が好きだった。
彼がデカンタにワインを並々と注いでいくのを、特等席で見るのが楽しみだった。
492:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:30:00.76 ID:m6szqZZ10
我慢して地元の高校を出て、東京の大学に進学する際、ようやく俺は上京した。
奨学金で学費を賄い、バイトして金を貯めるだけの4年間だった。
実家の援助は断った。
493:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:33:40.95 ID:m6szqZZ10
二年目は現場から離れ、一転して本社の営業に回された。
クライアントと設計部を行ったり来たりして、案の定その板挟みに遭う仕事だ。
「こんな事もできんのか」とクライアントにはどやされ、「何でも首を縦に振ってくんじゃねぇ」と設計部からは突き返される。
494:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:35:54.59 ID:m6szqZZ10
努力した先に輝かしい未来が待っていると信じていた。
期待に胸を膨らませる俺を待ち受けていたのは、クソのような現実だった。
495:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:38:28.65 ID:m6szqZZ10
デスマーチを経てなんとか工事は終わらせたものの、待っているのは監査と会計検査だ。
タチの悪い事に、東京都や国からの補助金を充当している工事であり、発注方法から何から説明を求められる。
ルールをねじ曲げた、と説明できるはずが無く、かといって合理的な説明もできない。
496:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:44:32.01 ID:m6szqZZ10
世の中にはもっと苦しい事もあるだろうし、俺の受けた苦しみなんて屁みたいなもんだと言う人もいるだろう。
俺も、今振り返ってみれば、やりようはどうにかあったし、それに耐えた先の未来もあっただろうと思う。
だが、人の幸不幸や苦しみは、定量的に、相対的に量れるものではない。
497:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:46:10.40 ID:m6szqZZ10
給料は下がったが、民間時代に使う暇も無いまま蓄えたものもあったので、それほど切迫感も無かった。
電話応対、施設使用者への鍵の貸し出し、設備や備品の点検、チラシの張り出し。
同僚のおじちゃん、おばちゃん達と菓子を摘まみ、窓口の客と世間話をしながら、ゆっくりと時間が過ぎていく職場だ。
498:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:49:05.58 ID:m6szqZZ10
俺が勤めていた施設は、規模が中途半端であった分、その利用者も微妙に幅広かった。
爺さん婆さん達で構成される生涯学習サークルの、音楽やら演劇関係の発表会。
うさんくさそうな大学教授や某企業の社長さんによる講演会。
499:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:50:59.53 ID:m6szqZZ10
その子は、小学校の合唱発表会で来ていたようだった。
ただ、周りの子達と溶け込めておらず、一際目を引く青みがかった綺麗な長髪が、余計に異質な存在感を放っていた。
他の子達も、露骨にイジメている訳ではないものの、明らかに彼女の事を煙たがっているようだった。
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