過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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495:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:38:28.65 ID:m6szqZZ10
デスマーチを経てなんとか工事は終わらせたものの、待っているのは監査と会計検査だ。
タチの悪い事に、東京都や国からの補助金を充当している工事であり、発注方法から何から説明を求められる。
ルールをねじ曲げた、と説明できるはずが無く、かといって合理的な説明もできない。
496:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:44:32.01 ID:m6szqZZ10
世の中にはもっと苦しい事もあるだろうし、俺の受けた苦しみなんて屁みたいなもんだと言う人もいるだろう。
俺も、今振り返ってみれば、やりようはどうにかあったし、それに耐えた先の未来もあっただろうと思う。
だが、人の幸不幸や苦しみは、定量的に、相対的に量れるものではない。
497:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:46:10.40 ID:m6szqZZ10
給料は下がったが、民間時代に使う暇も無いまま蓄えたものもあったので、それほど切迫感も無かった。
電話応対、施設使用者への鍵の貸し出し、設備や備品の点検、チラシの張り出し。
同僚のおじちゃん、おばちゃん達と菓子を摘まみ、窓口の客と世間話をしながら、ゆっくりと時間が過ぎていく職場だ。
498:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:49:05.58 ID:m6szqZZ10
俺が勤めていた施設は、規模が中途半端であった分、その利用者も微妙に幅広かった。
爺さん婆さん達で構成される生涯学習サークルの、音楽やら演劇関係の発表会。
うさんくさそうな大学教授や某企業の社長さんによる講演会。
499:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:50:59.53 ID:m6szqZZ10
その子は、小学校の合唱発表会で来ていたようだった。
ただ、周りの子達と溶け込めておらず、一際目を引く青みがかった綺麗な長髪が、余計に異質な存在感を放っていた。
他の子達も、露骨にイジメている訳ではないものの、明らかに彼女の事を煙たがっているようだった。
500:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:54:33.36 ID:m6szqZZ10
学校の皆とは、一緒に歌いたくない? ――少女は、頷いた。
一緒に歌ったことは、あるの? ――少女は、首を振った。
501:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:56:30.80 ID:m6szqZZ10
柄にも無くキザったらしい事をしてしまったが、まぁ――これはこれで、良かったのかな。
そう、一人客席の隅っこに立って物思いに耽っていると、後ろから肩を叩かれた。
誰だ、館長か? やべっ、サボッてるのがバレ――た訳では無かった。
502:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:57:18.43 ID:m6szqZZ10
マルチ等の勧誘を断る際のセオリーは、その場でキッパリ断ること。
話だけ聞く、という半端な対応は御法度であるという。
503:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:59:26.38 ID:m6szqZZ10
渡された名刺の住所から最寄り駅を調べ、当日、その駅からタクシーで向かった。
運ちゃんに事務所名を伝えると、小首を傾げた後「あぁ、あそこね」と合点した様子で車を走らせる。
504:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:02:02.71 ID:m6szqZZ10
え――!?
曰く、ここは961プロという別の事務所で、俺をスカウトしたおっさんは765プロの社長だという。
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