過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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583:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:41:36.14 ID:m6szqZZ10
――――。
まさか、またここに来ることになるとは――。
俺は――もう10年以上前になるのか――俺にとって最初の会社の、玄関前に立っていた。
何も感慨が無いと言えば、さすがに嘘になる。
いつの間にか新調されたエレベーターで上がり、かつての上司がいるというそのフロアへ向かう。
「――おーっ! 待ってたぞおい、ピー! 元気そうじゃねぇか、エェ、こっち来て座れや!」
入って一年目の時、現場で青臭い俺を散々怒鳴りつけていた作業所長は、本部の重役になっていた。
白髪の増えた頭を掻き上げ、しかしあの時と変わらないデカい声で、俺を見つけるなり手を振って呼びつける。
「そのあだ名は、勘弁してもらえませんか?」
「ガッハッハ、久しぶりに会ったってのになーに言ってんだお前は! エェ、腹の調子はいい加減マシになったのかよ、ピー!?」
「おかげさまで、はい」
「シマさんには挨拶行ったのか? あの人も寂しがってるからよぉ顔見せてやれよ、エェ!? ワッハッハ!」
「えぇ、はい」
取り繕いながら、何となく古傷が痛むのを感じて、俺は知らず腹をさする。
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