過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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671:名無しNIPPER[saga]
2017/12/22(金) 22:24:34.63 ID:vQzT5qlo0
「舞台袖に一人しか立ち会えない?」
唐突な説明に、思わず大きくなった俺の声が舞台裏に響いた。
「事前に申請いただいた方のみ、本番中の舞台袖での待機をご案内しておりますが―一。
672:名無しNIPPER[saga]
2017/12/22(金) 22:31:16.99 ID:vQzT5qlo0
「仕方がありませんよ、セキュリティ上の問題もあるようですし」
しつこく食い下がろうとする俺をなだめるように、アリさんが手を振った。
「現に、先ほど我々LIPPSの音源CDが紛失したという事件もありました。
673:名無しNIPPER[saga]
2017/12/22(金) 22:34:28.63 ID:vQzT5qlo0
「私が、その余った客席に?」
つまり、一般客に紛れて観てろってことか?
「良いんじゃないですか? こう言ってはなんですが、他にどうしようも無いんですし。
674:名無しNIPPER[saga]
2017/12/22(金) 22:47:13.21 ID:vQzT5qlo0
客席に行って自分の席を見つけた瞬間、俺は恣意的な何かを強く悟った。
「――おっと、こりゃ失敬。あっためておきましたぜ」
675:名無しNIPPER[saga]
2017/12/22(金) 22:55:13.58 ID:vQzT5qlo0
「――座ったら?」
服部さんに促され、俺は渋々その席に腰を下ろした。
676:名無しNIPPER[saga]
2017/12/22(金) 22:57:43.70 ID:vQzT5qlo0
それにしても、あまりに居心地が悪い。
アリさん達も高垣さんも、どういう気の回し方か知らないが、余計なお世話も良いとこだ。
彼女と久しぶりに、しかもこんなシチュエーションで顔を合わせた所で、お互い気まずくなるだけなのに。
677:名無しNIPPER[saga]
2017/12/22(金) 23:01:05.43 ID:vQzT5qlo0
「担当プロデューサーでは、なかったのかしら」
独り言のように、服部さんはポツリと呟いた。
678:名無しNIPPER[saga]
2017/12/22(金) 23:03:28.15 ID:vQzT5qlo0
「そうね」
気の無い返事をして、彼女はステージの方へ向き直った。
「でも、現にこうして今日、あなたのアイドルはこの舞台に立つのよ」
679:名無しNIPPER[saga]
2017/12/22(金) 23:06:51.15 ID:vQzT5qlo0
次が、いよいよ346プロの――LIPPSの出番だ。
「頑張れ頑張れと、励まし続けたことで君を潰した上、辞めさせてしまった――。
そして、もう止めろ夢を見るなと、足を引っ張りまくれば今度はこの有様だ」
680:名無しNIPPER[saga]
2017/12/22(金) 23:09:41.43 ID:vQzT5qlo0
そして――まだ暗いままだが、シルエットで誰が誰かは何となく分かる。
まさに今、舞台の上に姿を現した彼女達の姿を見て、ようやく気づいた。
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