過去ログ - アラサーニートエリちとキャリアウーマン亜里沙
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名無しNIPPER
2018/03/03(土) 06:23:06.33 ID:6MsEYCRx0
「大学4年生の時に、あいつに最後のチャンスを与えたのは覚えているね?」
「はい」
「だがあいつは無能だった、私はチャンスを与えたことを後悔したよ」
「それは……」
お姉ちゃんが大学四年生の時。
私がもう今の仕事場でお手伝いして数年っていう時だったからよく覚えている。
唐突にスーツと手土産を持って現れた父が、今から行く場所にいけと有無を言わせず言い放った。
その場所はとある有名企業――確か、リニアを作っているとかなんとか。
帰ってきたお姉ちゃんは何も言わなかったけど、亜里沙は今でも覚えている。
私の胸に泣きついて一時間以上も泣いたことを。
嫌だ嫌だと何度も声を上げながら、ひたすら――自分が元μ'sであることを後悔し続けていた。
「お父さんは……お父さんはいきなり全く未体験の場所に放り込まれてちゃんと働けるの?」
「私は社会人だよ、あいつとは違う」
「あの時のお姉ちゃんは大学生だったの! そこを勘違いしないで!」
思わず大きな声が出た。
「ずいぶん姉に入れ込んでいるようだが……あいつに何ができると言うんだ」
「どうして……どうしてお父さんはお姉ちゃんを信じてくれないの?」
「裏切られたことを許せとでも言うつもりか?」
「お姉ちゃんは裏切ったんじゃない! お父さんは知らないの! あの企業が一年後セクハラとパワハラと過労死の問題で警察の調査が入ったことを!」
「いいか亜里沙、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントと言った言葉はまやかしだ、そんなものは存在しない」
通話を切ってしまいそうになった。
私は霞んだ視線で前を睨みつけたまま、ひたすらに心のなかで叫んだ。
もう、どうにもならないくらい感情が抑えきれなかったから。
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