過去ログ - アラサーニートエリちとキャリアウーマン亜里沙
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名無しNIPPER
2018/11/05(月) 15:09:30.51 ID:GQesSRIl0
自室から外に出た時に、不安が棘のようにチクチクと心を刺してきた。
暖房が利いているのか、それともいないのか。
先ほどまでは春の陽射しに包まれていたような心地よさであったのに、
寒いわけでもなく、暑いわけでもなく、愉快不快の感情を抜きにした、
温度を感じ取るという行為ができなくなっていることに驚いた。
それは死者という立場に片足を突っ込んでいるせいであるのか――
なにせ、自分が鈍感であるのは身に沁みて知ってはいるんだけども、
よく分からないけれど、明るい感情がじわじわと削ぎ落とされる恐怖感を
常に感じている状況に私は震えた。
一歩足を踏み出すのを躊躇してしまうほどに、心の中にもやもやとした感情が、
湯気のように浮かび上がってきて、温度はわからないのに手にじわっと汗が出てくる。
息を深く吸い込んで、まっすぐ前の一点を見つめながら、
震える足を踏み出していくと、耳に誰かの会話が届く。
老若男女――年齢や性別は分からないけれど、誰かが話しをしている。
そのことだけは分かる。
道を歩いている時に、雑踏の中で自分の悪口とか――悪く言われていることが、
不意に耳に入ってくるのと同じように、とりとめのない会話が耳の中に入ってきて、
口の中に手をツッコまれて心の中をかき混ぜられているみたいに、
気分の悪さと心の痛み――涙が出そうな感情が呼び起こされる。
恐怖に似た感情が次々と呼び起こされ、胸に集ってくる。
喉に食べ物が詰まったみたいに息苦しく、熱に浮かされているかのように
平衡感覚というものが次々と無くなってくる。
フラフラとよろめいてしまい、壁に手を這わせて身体を支えていると、
心臓の音が耳に入ってきた。
トクトク……という小さな音から、何百メートルも全速力で走った後みたいに、
汽笛のように大きな音をしながら、そんなに勢いをつけて動いたらいずれ動かなくなってしまう――
そんな死の感覚を如実に感じうる心臓の鼓動を感じた。
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