過去ログ - アラサーニートエリちとキャリアウーマン亜里沙
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913:名無しNIPPER
2018/11/05(月) 15:11:04.86 ID:GQesSRIl0
 耳に届く辛辣な言葉。
 辛辣と言うか、言葉で人を殺せるのならば私は何回か死んでいるレベルの罵詈雑言。
 それが冷徹でキャリアウーマン時の妹であるならば、多少は平気な部分があれど、
 声色は明らかに、お姉ちゃんお姉ちゃんと慕っていてくれていた時期のあどけない妹の声。
 憎悪と呼ぶべき憤懣やるかたない衝動を湧き上がらせた彼女の言葉は、
 それぞれが鋭いナイフであるかのように続々と私の精神を突き刺して、
 吐き倒してしまいそうで、泣き叫んでしまいそうで。
 わがままを言う子どものように両手足をバタバタと震わせながら癇癪を起こしてしまいそう――

「絵里ちゃんってさ、なんていうか――人と関わると人を苦痛を味わわせるよね」

 穂乃果の声。
 実際、穂乃果の冷徹な口調と声色なんて今までの人生において聞いたことはないから、
 それが本当に彼女であるのか極めて疑問ではあるんだけれど。
 敵意むき出しの、ついうっかり剣山に触ってしまったような痛みが一筋の涙に変わった。
 穂乃果がこんなことを思っているわけでも、感じているわけでも、
 ましてや言ったのを聞いたわけでもないのに、明確に自分が悪いとも相手が悪いとも思えない。
 宙ぶらりんな気持ちの辛さだけが心の中にしこりとなって残り――

「絵里を見ていると――両親を目の前で殺され
 その仇が幸福そうに過ごしているのを見たかのような、
 冷たくも熱い感情が浮かび上がってくるようです」

 海未の声。
 いつも心優しく――それはもちろん厳しい部分というのも多分に存在する彼女ではあるのだけれど。
 その厳しさは愛情の裏返しであることを私も――穂乃果も知っていた。
 少しくらいは喧嘩をすることもあるけれど、衝突を重ねたことだってあったけれど。
 燃え盛るような憎悪を瞳に湛え、私を見詰めながら今のセリフを言われてしまったら、
 おそらく心が一発で折れていってしまったであろうな、なんて思う。
 一度湧き上がった悪意の心に火を焼べるように、どんどんと悪い感情が流れていきそうに感じ、
 私は奥歯を噛み締めて前を見つめた。


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