過去ログ - アラサーニートエリちとキャリアウーマン亜里沙
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947:名無しNIPPER[saga]
2018/11/18(日) 07:00:52.81 ID:j1GEu/ey0
「誰から見た私……いや、私のエピソードではなさそうね」
「はい」
「だって私はこの場所で何をしたわけでもない、あるとすれば亜里沙」
「送られてきたデータによれば……亜里沙さんが初めて泣いた日」
「……なんていえばいいのかしら」

 初めてと言われたところで、あの場所にいた時に妹はたいてい泣いていたから。
 寂しいであるとか、恋しいであるとか、望郷の念があるとか。
 ロシアから来訪して、とにかく妹の生活も、私自身の生活も何一つ上手くは行かなかったのは。
 ああでも、妹の上手く行かなさ具合に比べれば、私のことなんて不出来(笑)みたいなもので。

「妹は来日当初日本語ができない……というか、知らなかったのかしら?」
「絵里お姉さんが小学校三年生なので、5歳くらいですか」
「ええ、たぶん、亜里沙の感覚からすれば――
 産まれて気がついたら言語の通じない国に送られてきたのと同じ感覚かも
 ――まるで異世界転生ね」

 異世界ファンタジー小説では、最初からペラペラ日本語で交流ができているけど。
 亜里沙は私とおばあさま以外の人間と交流できるようになるまで――
 10歳くらいになってからであるから5年ほど?
 その間、ある程度日本語は理解していたであろうし学んでも来たけれど、
 それでもなお他者と交流を避けてきたのは――バカだな私は。
 避けてきたんじゃない、できなかった。
 教えられてないのだからできなくて当然、私はまだ彼女よりも年上であったし、
 結構コミニュティスキルもあったものだから平気だったけれど。
 ああ、でも、平気ってわけでもなかったか、私でさえ日本なんてきらいだって
 思った時期が結構あったものだし、自分よりもインドアな妹がどのような感情を抱いたか、
 今まで想像すらしなかった私に反吐さえ出そう。


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