過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―6―
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984: ◆P2J2qxwRPm2A[saga]
2019/10/10(木) 20:26:53.62 ID:0n10eZ/T0
-3- リシテア×カトリーヌ
(支援Bまでのネタバレがあります)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 雨が降り始めたのは、丁度修道院に戻る途中でした。
 最初、ぽつぽつという弱い雨だったから、帰ろうと思えばどうにかなったと思う。だけど、買ったばかりのお菓子が濡れるのを嫌って軒下に隠れた。結果、雨脚は激しくなりわたしは動けなくなっていた。
「はぁ、どうしてこういう日に限って雨が降るんですか……」
 今日はお菓子の市場があった。そこで並ばないと買えない絶品スイーツが売られると聞いて、早朝から頑張った。頑張って手に入れたというのに、この仕打ちはどうかと思う。
「はぁ、やっぱりカロンの紋章は雨にとことん愛されているんですね。正直、こんな愛情いらないっていうのに」
 雨脚は弱まる気配を見せなくて、だんだんと湿気が増して来るのを感じた。買ったスイーツは湿気に弱いクッキーだから、尚更空を睨むように見上げてしまう。この雨の被害にあっているのか、どこからか駆け足の音が聞こえる。多分、衣の準備をしてなかった人が家路を急いでいるんだと思う。多くの不幸を生むこの雨に、なんだか無性に腹が立った。 
「もう、本当になんなんですか」
「仕方ないよ。天気だって、こうなりたくてそうなってるわけじゃないんだからさ」
 その声とともに雨に紛れて聞こえていた足音は消えて、隣に誰かが立っていることに気づいた。視線を上げてみると、そこにはびしょ濡れのカトリーヌ様がいた。
「え、カトリーヌ様、どうしたんですか!?」
「ああ、ちょっと街に用があってね、で、行ったはいいけど雨が降り始めて、撤収作業を手伝っていたらさらに強くなって、この様っていうわけさ。それで、そっちはそんなに憤慨してどうしたんだ?」
 そう言いながら全身水浸しの姿をわたしに披露してくる。だけど、何時もの活発で凛々しいカトリーヌ様は健在の様で、雨に降られたこと自体はそれほど気にしてないように見える。まぁ、わたしだっていつもなら雨に降られることをこれほど嫌う事は無い、でも、今日は事情が異なるのだ。
「この雨だと、これがダメになってしまいそうだからです」
「これ、ああ、なるほどね。確かにこの湿気の中だ、何時もより早く駄目になっちまうかもしれん」
「そうです、これは由々しき事態なんですよ。せっかく、朝から並んで手に入れたのに」
「ははっ、リシテアは甘いものが好きなんだな」
「はい。それに、頑張った分だけ自分にあげるご褒美でもありますからね。カトリーヌ様はそういうのは無いんですか?」
「ご褒美ねぇ。うまい飯を食べて酒を飲めればそれでいいって感じかな?」
「カトリーヌ様って、やっぱり豪快ですよね」


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