過去ログ - タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part6
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41:名無しNIPPER
2018/04/02(月) 13:56:34.23 ID:6GCZ6IAP0
3億歳の誕生日
少し長くなります。
以下本文

僕は今日、2億9999万9991回目か2億9999万9990回目の10歳の誕生日を迎えた。

朝起きていつものように日記をつけて、僕はそれから協会に向かった。僕と同じようにアンドロイドと化したNPCの牧師は、どこから手に入れたのかも分からない植物図鑑を読みふけっていた。
「そんなもの読んだってここの農業スキルには応用できないよ」僕が皮肉を飛ばしたら、「坊やは分かってないですねぇ、私たちだっていつかまたこの世界を出れるかもしれない。『外』の世界に出てまた肉体をもてたとしても、丸腰じゃ生きていけませんよ」とニコニコしながらも本を閉じ、「それじゃあ坊やも来たところですし、日曜日の朝だから牧師らしく説教でもしましょうか」と椅子から腰を上げた。

『生きた』NPC___僕らの住む世界は、そんな(当時としては)大胆な取り組みで社会現象では済まないほどの売上を伸ばしたオンラインゲームだった。死後間もなかったり植物状態の人の脳髄をスキャンし、ゲーム世界で「蘇生」させる。僕もまた小児癌で肉体的に死んだあと、ここで生き長らえた身だ。

「…しかしいつからかこのゲームからユーザーは居なくなり、残ったのは私達NPCだけでした。私達NPCはサーバーを乗っ取り、今日まで肉体を取り戻すための研究を続けているのです。…坊や、聞いてますか?」
「三億年付き合いがあるのに坊や呼びされたのが気になったんだよ、誕生日になるといきなりたった数十年の年の差意識し出すの、本当馬鹿馬鹿しい」
「斯く言う坊やはたった一日のことを気にしてますがね」僕はため息をついた。

「そこまで不機嫌になるなら、神父の説教の代わりに今日はすごいものを見せてやろう。約3億回目の10歳の誕生日にはぴったりなもんだよ。」



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