過去ログ - タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part6
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540:名無しNIPPER[sage]
2018/07/11(水) 01:12:06.74 ID:Ai/KGuL60
>>528
愛を流す川

『流し雛』というものをご存知だろうか、自身の厄を人形に移して川に流して身を清める伝統行事である。
しかしある村で、漁師の男が流し雛に異を唱えた。
「厄を川に流し続けていたら川の下流は厄まみれになってしまう、川は湖につながっていて、その湖は我々の漁場だ。厄で魚が駄目になったらどうする」と。

この主張を聞いた村人たちは、確かにそうだ、何とかしなければと頭を捻った。
そして数日後、村の知恵者たちが出した結論はこうだ。
「男の主張はわかるが厄を避けるために流し雛をやめる訳にはいかない。そもそも厄を流すことが問題なのではなく、その厄が湖にとどまるから問題なのだ。ならば、流し雛の後で川に我々の愛も移して流そう。そうすれば湖では愛と厄が中和されるはずだ」
こうして村ではその年、『流し雛』の翌日に、『流し愛』を行った。


さて、所変わって水の中。厄と、今年からは愛が流れ込む湖の魚たち。
「また群れから変死者が出たな……いつもの事だが。この湖は厄が多いせいで酷い死に方が多いんだ。最も何匹か死んだところで群れの存続に問題はないんだが」
「そうね、でも何故かしら去年まで誰が死んでも何とも思わなかったのに、今は群れの仲間が死んでとても悲しいわ」
「そうだな、あいつ一人逝かせるのは可愛そうだ……みんなで後追おう」
「確かに。愛しい仲間と共に行けるなら本望だな」

その年から湖で魚がパッタリ取れなくなったそうな




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