過去ログ - 傘を忘れた金曜日には -SS速報VIP

過去ログ - 傘を忘れた金曜日には

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109:名無しNIPPER[saga]
2018/04/23(月) 22:05:06.45 ID:S9LQ/InAo

　教室を出て二階に降り、渡り廊下までの通路を歩いていく。
　
　二階は一年生の教室になっている。
　去年卒業した先輩が、「どうして年を取るたびに昇る階段の段数が増えるんだ」とぼやいていたのを思い出す。

以下略

110:名無しNIPPER[saga]
2018/04/23(月) 22:05:35.60 ID:S9LQ/InAo

　少しの間そのまま躊躇していたけれど、結局、声をかけることにした。
　根が話し下手なので緊張がないと言うと嘘になるが、大義名分があるだけマシだ。

　渡り廊下に踏み入った瞬間、薄い皮膜を破ったような、奇妙な感覚を覚えたけれど、たぶんただの錯覚だったのだろう。

以下略

111:名無しNIPPER[saga]
2018/04/23(月) 22:06:18.78 ID:S9LQ/InAo

「あの、市川さんだよな？」

　人違いだけはまずいと思って繰り返すと、彼女はようやく頷いてくれた。
　とりあえず、反応があったことにホッとする。

以下略

112:名無しNIPPER[saga]
2018/04/23(月) 22:07:01.71 ID:S9LQ/InAo

「無理にとは言わないけれど、是非にとは言いたいみたいな……」

「それ、だいたい同じ意味じゃない？」

以下略

113:名無しNIPPER[saga]
2018/04/23(月) 22:07:27.43 ID:S9LQ/InAo

「そうなんだ」

　自分で聞いておいて、さして興味もなさそうな相槌を返してきてから、市川は視線を本に戻した。失礼なやつだ。

以下略

114:名無しNIPPER[saga]
2018/04/23(月) 22:07:55.21 ID:S9LQ/InAo

　無性に落ち着かない気持ちになって、その場を後にしようとしたとき、「ねえ」と声をかけられて、体が凍りついたみたいに動かなくなった。

「三枝くん、きみはどうして、あんな話を書いてるの？」

以下略

115: ◆1t9LRTPWKRYF[saga]
2018/04/23(月) 22:08:23.17 ID:S9LQ/InAo
つづく

116:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 21:04:48.91 ID:pIFRZUQro

◇

　部室に戻ってことの顛末を報告したあと、その日の部活は終わりという流れになった。

以下略

117:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 21:05:14.83 ID:pIFRZUQro

「じゃあ、途中までご一緒しますか？」

　真中の言葉に、俺は頷く。
　東校舎の階段を降りる途中で、他の文化部の連中と何度かすれ違う。

以下略

118:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 21:05:41.21 ID:pIFRZUQro

　東校舎から本校舎に戻り、そのまま昇降口へと向かう。
　
　昨日から訊きたかったことを、ようやく訊けるタイミングが来た。

以下略

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