過去ログ - 傘を忘れた金曜日には -SS速報VIP

過去ログ - 傘を忘れた金曜日には

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136:名無しNIPPER[saga]
2018/04/25(水) 22:53:48.87 ID:3yfACaumo

◇

　家に帰ると、純佳がダイニングの椅子に座り、テーブルに突っ伏して眠っていた。
　

137:名無しNIPPER[saga]
2018/04/25(水) 22:54:14.78 ID:3yfACaumo

　ちょっとやそっとの物音では、純佳は目覚めそうもない。
　このまま寝せておいてもいいが、まだ夜は冷える。風邪でも引かれたらよくない。

138:名無しNIPPER[saga]
2018/04/25(水) 22:54:42.03 ID:3yfACaumo

　彼女がシャワーを浴びるというので、俺は洗い物をして、ひとり自室に戻ることにした。

　夜は暗い。

139:名無しNIPPER[saga]
2018/04/25(水) 22:55:17.75 ID:3yfACaumo

　ライオンから逃げ出した男が、その先で切り立った崖と荒れ狂う高波に出会ったとしたら、
　彼はライオンの口の方へと引き返すのだろうか。

　そんなたとえ話を思い出す。

140:名無しNIPPER[saga]
2018/04/25(水) 22:55:46.95 ID:3yfACaumo

　携帯を取り出して、誰かに連絡をしようと思った。
　
　とりあえず、最初に思いついた相手が瀬尾だったので、

141:名無しNIPPER[saga]
2018/04/25(水) 22:56:27.54 ID:3yfACaumo

「今日の晩飯なに食った？」

「おさしみ」

142:名無しNIPPER[saga]
2018/04/25(水) 22:56:59.20 ID:3yfACaumo

「なんかって？」

「だって、そっちから連絡よこすなんて珍しいし」

143:名無しNIPPER[saga]
2018/04/25(水) 22:57:35.21 ID:3yfACaumo

「寂しいの？」

　と、なんでもないことみたいに、瀬尾は言う。
　それは図星だったんだろうか。

144:名無しNIPPER[saga]
2018/04/25(水) 22:58:07.85 ID:3yfACaumo

「……あのさ、瀬尾。ちょっと聞きたいんだけど」

「ん？」

145:名無しNIPPER[saga]
2018/04/25(水) 22:58:33.48 ID:3yfACaumo

「ふうん。でも、たいした話じゃなかったと思うよ」
　
　電話の向こうで、何かを整理しようとするみたいに、「んーと」と彼女は息をつく。

146:名無しNIPPER[saga]
2018/04/25(水) 22:59:01.08 ID:3yfACaumo

「副部長がそんな話に興味を持つなんて意外だな」

「なんで？」

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