過去ログ - 傘を忘れた金曜日には -SS速報VIP

過去ログ - 傘を忘れた金曜日には

↓ 1- 覧 板 20

673:名無しNIPPER[saga]
2018/10/18(木) 22:26:40.75 ID:GtkquWbio

　そして、俺と彼女はむこうに行った。
　
　怜とちどりが帰ったタイミングがいつなのか、俺は知らない。

「たぶん、一日じゃないか」と俺は言う。

「一日……」

「うん。たぶん、一日だと、思う。怜とちどりが帰ってきた正確な時間は、俺にはわからない」

「……そうか、そうかもしれない。考えてみれば、一日なのかもしれない」

「……」

「ぼくらは、あそこに行って、隼と会って、助けられて……帰ってきたら、隼がいなかった」

「……」

「二週間。隼は、姿を消していた」

　悔恨だろうか、後ろめたさだろうか、怜は、目を合わせようとしない。

　俺が怜とちどりが帰ったタイミングを知らないのは当たり前だ。
　そのとき俺は、まだむこうにいたんだから。

　……あの日、あのときから、そうだ。

　あの日、葉擦れの森に迷い込んでから、俺のからだの半分は、まだあそこに取り残されているような気がする。
　あのときから、葉擦れの音が、止まないままだ。

<<前のレス[*]｜次のレス[#]>>

1002Res/753.44 KB

↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。

VIPサービス増築中！
携帯うpろだ|隙間うpろだ