過去ログ - 傘を忘れた金曜日には -SS速報VIP

過去ログ - 傘を忘れた金曜日には

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683:名無しNIPPER[saga]
2018/10/19(金) 22:00:06.61 ID:R2O/nCn/o

「……冷静に話そう」と怜は言う。

「まず、前提。ぼくらが暮らしている生活空間。この日常。つまり、こっちの世界がある」

以下略

684:名無しNIPPER[saga]
2018/10/19(金) 22:00:32.68 ID:R2O/nCn/o

「ぼくとちどりが迷い込んだのは、森の中の、広場のような場所だった」

「それはたぶん、俺が最初についたところと同じだ」

以下略

685:名無しNIPPER[saga]
2018/10/19(金) 22:01:05.70 ID:R2O/nCn/o

「瀬尾さんの学生証を拾ったのは、図書室から入ったときだ」

「どこの図書室だ」

以下略

686:名無しNIPPER[saga]
2018/10/19(金) 22:02:04.01 ID:R2O/nCn/o

　
「わかるのは、どこから入ったとしても、ある一定の距離を歩いたところに、森があるってことだ」

「森……」

以下略

687:名無しNIPPER[saga]
2018/10/19(金) 22:02:30.68 ID:R2O/nCn/o

◇

以下略

688:名無しNIPPER[saga]
2018/10/19(金) 22:03:10.89 ID:R2O/nCn/o

　俺は彼女と手を繋ぎ、怯えながら藤棚の先へと歩いていった。
　並ぶ背の高い生垣が、視界を覆うみたいに立ちはだかる。

　それは左右を遮り、道のように続いていく。

以下略

689:名無しNIPPER[saga]
2018/10/19(金) 22:03:55.84 ID:R2O/nCn/o

　ある場所で、うめき声を聞いた。
　
　怜は、木々の間、崖の下で足を抑えていた。
　俺と彼女はすぐに近付き、怜の様子を見た。

以下略

690:名無しNIPPER[saga]
2018/10/19(金) 22:04:41.43 ID:R2O/nCn/o

　俺と彼女は、怜とともに、どうにか崖の上へと戻った。
　さいわい、それほどの高さでもなかったし、低めのところもちゃんとあって、観察さえすれば、道に戻るのは難しくなった。
　
　俺は、彼女に怜を任せることにした。

以下略

691:名無しNIPPER[saga]
2018/10/19(金) 22:05:12.59 ID:R2O/nCn/o

　小径の先に進めば進むほど、いろんな感覚がなくなっていった。
　時間も、意識も、視覚も、どんどんとあやふやになっていく。
　振り返っても、枯れ木の枝に隠されて、歩いてきた道の形はわからない。

以下略

692:名無しNIPPER[saga]
2018/10/19(金) 22:05:39.63 ID:R2O/nCn/o

　やがてたどり着いたのは、開けた空間だった。
　枯れ木はそこだけを避けるみたいだった。

　焼け落ちた、大きな建物の跡。そんなふうに見えた。

以下略

693:名無しNIPPER[saga]
2018/10/19(金) 22:06:18.91 ID:R2O/nCn/o

　俺は彼女の背中に手を回して抱きしめた。

　それはちどりを安心させるためというよりは、俺自身が安心したいからだった。

以下略

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