過去ログ - 傘を忘れた金曜日には -SS速報VIP

過去ログ - 傘を忘れた金曜日には

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827:名無しNIPPER[saga]
2018/10/28(日) 20:30:23.75 ID:t5Rpv7Vmo

「……なに？」

　ふと気付いたら、俺は真中のことをじっと見つめていたらしかった。
　頭を振り、なんでもない、と答える。

828:名無しNIPPER[saga]
2018/10/28(日) 20:31:16.13 ID:t5Rpv7Vmo

　けれど、

「……ちせ、来ないね」

829:名無しNIPPER[saga]
2018/10/28(日) 20:31:56.40 ID:t5Rpv7Vmo

　俺は携帯を操作して、そのままちせの番号を呼び出して電話をかけた。

　これで出なかったら、出なかったら……？

830:名無しNIPPER[saga]
2018/10/28(日) 20:32:23.55 ID:t5Rpv7Vmo

　祈るような気持ちでコール音を聞く。

「せんぱい？」と訊ねてくる真中の声に、答える余裕がない。

831:名無しNIPPER[saga]
2018/10/28(日) 20:32:50.04 ID:t5Rpv7Vmo

　そして俺はポケットに携帯を突っ込んだ。

　あたりを見ると、全員が俺に視線を集めている。

832:名無しNIPPER[saga]
2018/10/28(日) 20:33:52.70 ID:t5Rpv7Vmo

「大野」

「ん」

833:名無しNIPPER[saga]
2018/10/28(日) 20:34:22.04 ID:t5Rpv7Vmo

「わたしたち三人とも、部室の外にいればいいんでしょう？」

「ああ」

834:名無しNIPPER[saga]
2018/10/28(日) 20:34:47.97 ID:t5Rpv7Vmo

　戸惑ったような大野を取り残し、市川もまた立ち上がった。

「埒が明かないからね」

835:名無しNIPPER[saga]
2018/10/28(日) 20:35:31.06 ID:t5Rpv7Vmo

「手厳しいな、あいつらは」

「……いや、そりゃそうだ」

836:名無しNIPPER[saga]
2018/10/28(日) 20:36:42.52 ID:t5Rpv7Vmo

　ひとつ、深く呼吸をする。

　絵を、眺める。入部してからというもの、俺は暇を持て余すたびに、この絵を眺めていた。
　今の今まで、何も起こらなかった。

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