過去ログ - 盲目の老人「60年も昔の話になるかのう……」幼女「おじいちゃん」
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2:名無しNIPPER[saga]
2018/08/06(月) 00:25:30.75 ID:w1pCU6EP0
盲目の老人「誰にでも平等に死は訪れる」

盲目の老人「儂が25歳の時、ワタアメは死んだ。儂は地方に勤めていて、ワタアメの死に立ち会えなかった」

盲目の老人「こうして縁側に立つと、無性に思い出されるのじゃ。あやつと過ごした数年間を」

盲目の老人「何よりも煌めいて、美しい数年間だった。儂がボールを投げ、あやつが飛び跳ね」

盲目の老人「猫なのにまるで犬みたいだねと笑ったこともあった」

盲目の老人「だが、それも泡沫の夢。ワタアメは帰ってこない。二度と」

幼女「おじいちゃん」

盲目の老人「幼子か、声で分かる」

幼女「おじいちゃんが縁側で思い出してくれるかぎり、その子はずっと、おじいちゃんの中で生き続ける」

幼女「二度と戻らない過去なんて、ないんだよ」

盲目の老人「お主……」

幼女「ありがとう。たった数年だけだったけど、楽しかったよ。おじいちゃんと過ごした日のこと、絶対に忘れない」

盲目の老人「過ごした日? なんのことだ……」

幼女「50年ぶりに帰った来たんだ。またボール投げてよ。ボールじゃなかったら鬼ごっことかかくれんぼでもいいから」

盲目の老人「お主は、まさか……!」


誰もいない縁側に、少年と猫の笑い声が響いて消えた。






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