過去ログ - アラサーニートエリちとキャリアウーマン亜里沙 2スレめ!
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238:名無しNIPPER[saga]
2018/12/24(月) 18:35:44.59 ID:FRabj/EK0
「自宅遭難民エリち」

 目を覚ますと周囲が明るくなっていて、地下の割には陽光の明るさを感じるなと思い、
 そういえばとテントを張って眠ったことを思い出す。
 夏場に近づき暑くなっている時期に差しかかるとは言え、
 夜に外で眠るとタオルケット一枚では肌寒さを覚えるのかもしれない。
 身体を起こしてテントから顔を出すと、見慣れたエトワールの邸宅が輝かしいものに感じる。
 建物内の空調機器であるとか、隙間風が入らない剛健な壁。
 地面と違って柔らかなマットレスの上に布団を乗せて横たわる幸せ。
 最近寝袋に寝ていてもなおベッドの上で眠れるというのは幸せなことなのだと
 しみじみと考えてしまうほど劣悪な環境下で眠りについたと認識。
 勢い余って外で眠ってしまったけど、
 実は外で眠らなくても良かったのではないか疑惑が私の中で急上昇。
 にこまきが戦力外だったせいでテントを一人で完成させ、
 真姫は徹夜で作曲していて建物の中で過ごしたから、
 テントで眠ったのはほぼほぼ自分だけだったことを思い出す。
 朝起きた時に一人だったので寝坊したかなって慌てて外に出たら、
 いかんせん山の中は朝方だと肌寒く、上着を一枚羽織り太陽の光が眩しいな、
 なんて考えながら伸びなんかしているとニコと目が合った。
 まずいことでもあったのか申し訳なさそうな表情を浮かべながら朝の挨拶をするので、
 どうしたのなんて気軽に声を掛けたら、眠れたなんて問いかけられて。
 疲れていたのか意識を失うように寝てしまったと笑うと、
 「そ、そうよねえ! やっぱり眠たくなるわよね! さ、今日も頑張っていくわよ!」
 とやたらテンション高くテントの中に入ってしまい首を傾げたりなんかしたんだけども。
 私が眠った後にテントから抜け出たニコは真姫にバレないように別荘の中に入り、
 気持ちよくベッドで眠ったものであるよう。
 朝早く起きてテントの中で過ごしている体でごまかそうとしたら私が起きていて、
 ずいぶん肝を冷やしたけどツッコミがなくて良かったと数年後告白されるに至る。
 私の融通の利かなさはニコの上手にやり過ごす器用さを学び活用しないと、
 そのうち風邪のひとつでもひいてしまいそう――そんなふうに苦笑いしながら以前と同じように伸びをしながら太陽の光を浴びた。
 このままラジオ体操でもして身体を動かしたいな、と思いスマホを取り出そうとしたら荷物は建物の中だったのを思い出す。
 まるで着の身着のままで家出をして困り果てる子どものようだと笑いながら、先ほどからそんな私の様子を見ていたと思しき南ことりと目が合う。

「おはようことり。どうしたの? そんなイエティに遭遇したみたいな顔をして」
「あの、逆に問いかけたいんだけど、なんで庭でテントを張って寝ていたの?」
「あー……勢い余って?」
「もしかしてこの建物の中にいる人から不遇な扱いとか受けているの?
 だったら私文句を言いに行かないと」


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