過去ログ - アラサーニートエリちとキャリアウーマン亜里沙 2スレめ!
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519:名無しNIPPER[sage saga]
2019/03/04(月) 20:27:21.07 ID:x5hn4Fkn0
 沼津駅から三島の駅に向かう。
 新幹線の停車駅などろくに知らず、新横浜か小田原から乗り換えるんだろうなんて考えていた私を、
 ツバサが大きな溜め息と一緒に罵倒の言葉を吐きつつ、手を取って誘導してくれた。
 まるで小さな子どものようではあったし、恥ずかしい想いを抱えてしまったんだけども、彼女自身にも意図はあった模様。
 ややもすると金髪外国人にも見える私を風除けに使い、
 トップアイドルに声を掛けたいという人に忙しそうという印象を与え、
 さらには日本語が不慣れそうな私の手を取ることによってなんていい人なんだという心象すら与える。
 余計なことをくっちゃべるんじゃないとアイコンタクトで情報を提示し、
 新幹線の指定席を確保し乗車するまでロシア語での交流が続いた。
 周囲に乗客はいれども、ツバサをガードするように私がいるせいで、サインをくれとねだる人もいない状況下となる。
 彼女は窓の外の高速で移動する風景を眺めながら、小さくため息を吐いた。

「ヒナに土産を買う暇もなかったわね……」
「ええ、時間はあったけど人が多かったわ、ごめんなさい絵里、
 私にもまだ知名度っていうものがあったのね……」

 ツバサは自嘲しながら笑う。
 紅白に何度も出場し一時代を築いたトップアイドルが
 引退も間もないにもかかわらずどこの誰とも知らない金髪と一緒にいる
 というのは人目も興味も引いた模様ではある。
 関心を寄せられているのは歓迎したい部分ではあるけれど、
 煩わしいという気持ちを覚えるほど他者から観られるというのは、
 いつになっても慣れない心持ち。
 これが当初の予定通り自由席でのんびり、
 下手すれば東京の駅まで立ちながら移動というのも覚悟していたら、
 車内はもしかしたらパニックが起こったのかもしれない。
 そこまで乗客マナーが悪いとは思わないけど、可能性だけは否定できない。
 モラルが低下していると文化人を名乗る方々が警鐘を鳴らすほど、
 実際問題意識は低下していないにせよ。
 一部の人達の自身さえ良ければ他者はどうなっても良いという思考回路は、
 24時間営業を強制するコンビニの偉い人とか
 それに追随して夜も営業すればいいじゃんと簡単に言う人を見ても明白。
 人間思ったよりも簡単に死ぬもんである、
 いくら自分が平気でいると思っていようと、なんでも。
 過去に何回も死んだ私が言うのだから信憑性があると思う。


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