過去ログ - アラサーニートエリちとキャリアウーマン亜里沙 2スレめ!
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718:名無しNIPPER[saga]
2019/06/02(日) 09:20:00.10 ID:bGj/c0Dc0
 悲しみを誘おうとしているのか、
 それとも同情して勝負を放棄して欲しいのか、
 とりあえず彼女が真剣な面持ちであるので、笑みを浮かべるなと頻りに念じるほかなかった。
  この場のムードとしてはもうすでになんだかなと言わんばかりの感じたけども――

「審査員は誰がするの? 愛ちゃん?」
「彼女が仮に絵里のシンパでも、私の親衛隊に加わってしまうほど、
 虜にさせることができるけれども、とても残念なことに彼女はこれから岐阜城へ行くらしいわ」
「じゃあ誰が?」
「僭越ながら、散々セイントムーンの二人から罵られ倒した
 不肖、黒澤ダイヤがお笑いの審査員として登場です」

 目の前には女子高生であることが疑わしく感じてしまうほど、
 焦燥しきった表情を浮かべた黒澤ダイヤちゃんがこちらに微笑みかけた。
 微笑みというより頭に後光でも差させた――
 疲れきってパトラッシュと共に眠りにつこうとするネロみたいな感じで、
 もういいから休め! 休め! と抱きついてしまいそうになる。

「お二人とも怒ってる?」
「とても怒っていらっしゃいます、全責任を絢瀬絵里のせいだとしておきましたので、
 今後罵られることがあるとすればあなたのほうかと」
「それで二人が満足してくれるならいいけど」

 私の表情が砂漠の中を三日三晩さまよい歩いた後の旅人――
 みたいな感じになっていないことを祈りつつ、
 自分が両手を広げてダイヤちゃんを手招きすると、
 至福の瞬間――生命力を流し込まれたと言わんばかりに私に向かって抱きつかんばかりに近づき、
 胸元をわっしわっしといじり始めた。
 これがちょっと前のエピソードまで絶対零度、
 鋼鉄の美少女と言われていた黒澤ダイヤと同じ人とは思えない。 
 ニコも、え? みたいな顔して目の前のお嬢様のご乱行に対して
 口を開いたまま驚きの表情を見せている。
 ダイヤちゃんは視界が開けた、悩みが全てなくなったと言わんばかりに、
 目の前にある霧が全て開けてしまったとこちらに向かって微笑みかけた。
 今までのはすべて彼女の演技なのではないかと疑ってしまうけれども、
 満足してもらったようであるならば私は小さくなった胸も喜んでくれると思う。

「まさかその人が、絵里の信者だったとは」
「わたくしは自らの価値判断に私情を含めるつもりはありません」
「口はかっこいいけど、目尻が下がりまくってるわよ?」


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