100:名無しNIPPER[sage saga]
2018/12/13(木) 22:03:58.40 ID:GeW4lDbLo
「……」
私って、何処に居てもこういう役回りが多い気がするわ。
アイドルになるまで、そうでもなかったと思うんだけれど。
困っちゃうな、あまり喜ばしくない部分が、板についてきちゃった。
……そう思い、動き出そうとした矢先、
「えっ? 明後日も、飲み会があるんですか?」
跳ねた。
透き通るような声は言わずもがな。
クタリと力を失っていた足も、ピョンと曲げられて。
膝から曲がった足の先――足首が、リズミカルに動いている。
「瑞樹さんが……ふふっ、そうなんですね」
モゾモゾと両腕が動き、持ち上がった頭を支える。
両手は頬を挟み、左右の両足は再び交互に前後する。
傍から見て、わかりやすい程の変化。
……まあ、見られてるとは、思ってないんだろうけど。
「えっ? 参加、されますよね?」
微塵も疑ってないような言い方。
それが本心からなのか、ノーと言えない状況を作ってるのか。
表情は見えないし、人生経験の差……って言えば良いのかな。
あの人が、何を考えて、今の発言をしたのか、私にはわからない。
「ふふっ! お猪口で、ちょこっとだけですから、うふふっ!」
でも、これで余計なお世話を焼かなくて済みそう。
「……」
気付かれないよう、そっとドアを閉める。
閉じかけたドアの隙間から、
「行ってらっしゃい……はい、おやすみなさい」
なんて、幸せそうな声が聞こえた。
けどね、私は知ってるの。
貴女、今晩は遅くまで飲むつもりだったでしょう?
テーブルの上に、ワインとグラスとオツマミが出しっぱなしだもの。
おわり
1002Res/575.31 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。