104:名無しNIPPER[sage saga]
2018/12/14(金) 22:26:01.11 ID:wmxCrzy+o
今年の風邪は、腸に来る。
「う……ううっ……!」
毎年の様に言われているその言葉を苦々しい思いとともに噛みしめる。
「大丈夫、ですか?」
そう、隣に座る彼女に声をかけてみるものの、顔色はすぐれない。
「っ……!」
両手で腹部を押さえ、温めているのだろう。
今日のLIVEで使用した衣装は、所謂ヘソ出し……腹部が露出したものだった。
それによって腹が冷え、元々体調が優れないのも合わさっての、この状態。
歯を噛み締めながら、目に涙を浮かべ、返事をする余裕すら無い。
「……」
念の為、バスの前方席に座っておいて良かった。
この顔色ならば、嘔吐をしてしまうかも知れない。
その場合、他の方も……もらってしまう可能性が高いだろう。
別行動で病院に……と、そう提案したのだが、
「大……丈夫、だから……!」
いつもの、年齢の割に大人びた表情で断られてしまったのだ。
その時の笑顔が、私の判断を鈍らせた。
凛とした、輝くような笑顔に……いや、言い訳はよそう。
そんな事をしても、何の解決にもならない。
「あ、駄目……駄目……!」
艷やかな黒髪が、バサリと振り乱された。
波が、彼女を襲ったのだ。
「頑張ってください……!」
心の底から、彼女に声援を送る。
身悶え、脂汗をかく彼女を見ていられず、通路を挟んだ反対の席を見る。
そこには、
「は〜い、頑張りま〜す……むにゃむにゃ」
幸せそうに眠る、可愛らしい寝顔があった。
申し訳ありません、貴女にかけた言葉では……無いのです。
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