107:名無しNIPPER[sage saga]
2018/12/14(金) 23:04:44.04 ID:wmxCrzy+o
「……!?」
信じられないようなものを見る目。
大声を上げて、罵声を浴びせられる事は……無いと思っていた。
「……」
大声を出すために、腹筋に力が入る。
それは、そのまま地獄の蓋が開くことを許可する行いであるし、
何の罪もない、バス内の仲間達を危険に晒す事になる。
そして、
「っ……!」
もう、これ以外に道は残されていない。
彼女も、それを理解しているからだ。
むしろ、私がオムツを所持していたという奇跡に感謝して欲しいと、そう、思います。
「……承知しないから……!」
震える手で、オムツを受け取りながら睨みつけられる。
何を承知しないと言うのだろう。
彼女は何故、このような状況にあって尚、気高くあろうとするのか。
私には理解出来ず、また、理解したいとは……はい、あまり思えません。
「パンツタイプなので、履くだけです」
小さな、小さな声で補足をしておく。
後ろに座っている方に聞こえないよう、最新の注意を払いながら。
それを聞いた彼女は、借りていた膝掛けの上にオムツを広げ、凝視した。
これからそれを履くと、自分に言い聞かせているのかも知れない。
「……ふーん」
心は、決まったようだ。
揺れ動いていた瞳に、決意と諦めの光が宿っている。
そして、
「まあ、悪くないかな」
などと、いつもの調子で言い放った。
――悪いです。
と……喉まで出かかった言葉を飲み下した。
彼女自身も、もう冷静な思考が出来ずにいるのだから。
オムツを使わざるを得ない状況が、既に最悪です。
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