60:名無しNIPPER[sage saga]
2018/12/11(火) 21:21:49.60 ID:AXSptHcQo
  
 「う……ううっ!」 
  
  
  我が友の背に身を隠し、迫り来る恐怖の権化を見る。 
  其の姿、醜悪にして凶暴。 
  立ち並ぶ牙は、鋭い眼光、金色と漆黒の毛皮は……虎。 
  虎の怪人が、我が魂を欲さんと現れたのだ。 
  
  
 「大丈夫です、神崎さん」 
  
  
  我が友の、地の底より響く言の葉により、魂は一時の安息を得た。 
  しかし、それはあくまでも魔力が安定したに過ぎない。 
  この身を狙う怪人は、未だ、其処に居るのだから。 
  ……嗚呼、けれど、 
  
  
 「我が友……!」 
  
  
  魂は、この身は、守られるだろう。 
  我が友――プロデューサーに。 
  言の葉を読み解き、導く者。 
  グリモワールを閲覧する権利を有する、資格者。 
  
  
  
 「私が、貴女を守ります」 
  
  
  
  漆黒の衣の拘束を解き、其れを翼の如く翻す。 
  我が瞳は、此処からでは視る事は無い。 
  だが、我が友の腰元には、銀色の装具が。 
  魔力に満ちた銀色の装具は、我が友を真の姿へと至らせる。 
  
  
 「なので……少しだけ、離れていて貰えますか?」 
  
  
  言われて、気付く。 
  
  
 「ぴっ!? す、すみません……」 
  
  
  いつの間にか、スーツを握っちゃってた! 
  うぅ……は、恥ずかしい……! 
1002Res/575.31 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
板[3] 1-[1] l20 
	このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
	もう書き込みできません。