62:名無しNIPPER[sage saga]
2018/12/11(火) 21:53:30.89 ID:AXSptHcQo
  
 「GRROOOOOOOO!!」 
  
  
  虎の怪人の咆哮。 
  獣の叫びは衝撃となり、我が身を凍りつかせる。 
  だが、その氷はいとも容易く砕け散り、霧散する。 
  我が友の背が、無音の詠唱にて結界を紡いでいるから。 
  
  
 「っ!?」 
  
  
  だが、我が友はその背を虎の怪人に向けた。 
  そして、 
  
  
 「ぷっ、ぷぷっ、プロデューサー!?」 
  
  
  だ、だだっ、抱き締め―― 
  
  
  
 「ぐうあああっ!?」 
  
  
  
  ――苦悶の声を上げた。 
  
  
  
 「…………えっ?」 
  
  
  
  一体、何が起こっていると言うのか。 
  何故、我が友はこの身を胸に抱き続けるのか。 
  あまりにも近くから、破壊の音が耳へと届けられてくる。 
  
  
 「ぷっ……プロデューサー……?」 
  
  
  鼓膜を震わせる、刃が擦れ合う音。 
  されど、我が友は其の拳も、脚も振るってはいない。 
  ただ、私を抱き締めながら、守りながら、 
  
  
 「――プロデューサー!」 
  
  
  振るわれる凶刃に、其の身を斬り刻まれ続けていた。 
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