過去ログ - 【バンドリ】短編 -SS速報VIP

過去ログ - 【バンドリ】短編

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1:名無しNIPPER[sage]
2018/12/16(日) 21:57:58.69 ID:p7hexEOn0

短い話を書いていこうと思います。

SSWiki : ss.vip2ch.com

2:名無しNIPPER[sage saga]
2018/12/16(日) 21:59:25.03 ID:p7hexEOn0

山吹沙綾「ただ君に晴れ」

3:名無しNIPPER[sage saga]
2018/12/16(日) 22:00:13.06 ID:p7hexEOn0

　冷たい風が頬を刺す。木枯らしの風だった。

　自宅から外に出た山吹沙綾は、巻いたマフラーに首をすくめる。そして手にした車のキーを配達用の軽アルミバンに差し込み、それを回す。

4:名無しNIPPER[sage]
2018/12/16(日) 22:01:00.72 ID:p7hexEOn0

◆

　冬はつとめて……とは高校の頃に授業で習った枕草子の一説だ。

5:名無しNIPPER[sage]
2018/12/16(日) 22:03:17.95 ID:p7hexEOn0

◆

　今日は車で二十分ほどの隣町にて産業祭があるということで、その運営の人たちの朝食となるパンの配達だった。

6:名無しNIPPER[sage]
2018/12/16(日) 22:03:49.15 ID:p7hexEOn0

「さむ……」

　陽の上っていない暗い空の下を吹き抜ける風はやっぱり冷たい。足早にまだ先ほどの暖房が薄ぼんやり残っているアルミバンへ乗り込んで、エンジンをかける。温かい風が足元から吹き出し、カーステレオからはまた穏やかな声が流れ始めた。

7:名無しNIPPER[sage]
2018/12/16(日) 22:04:33.57 ID:p7hexEOn0

　高校卒業を機に、ポッピンパーティーは解散していた。

　その主な理由はやまぶきベーカリーを本格的に手伝い始める沙綾自身にあったと思うけれど、大切な親友たちはそんなことは一切考えていないようだった。

8:名無しNIPPER[sage]
2018/12/16(日) 22:05:16.40 ID:p7hexEOn0

　でも、そうだと分かっていても、整理できない気持ちがどうしても沙綾の胸の中にはあった。

　みんなは高校から大学、そして会社へと、色々な場所に身を置き換え続けていた。

9:名無しNIPPER[sage]
2018/12/16(日) 22:06:24.45 ID:p7hexEOn0

「……香澄、どうしてるかな」

　赤信号に引っかかり、道路にぽつんと停車した車の中で、沙綾は運転席の窓の外へと視線を彷徨わせながら呟く。

10:名無しNIPPER[sage]
2018/12/16(日) 22:07:42.65 ID:p7hexEOn0

　そんなどうしようもないことを考えているうちに、気付いたら信号が青になっていた。だけど沙綾はクラッチを踏み込む気になれなかった。

　時刻は午前六時過ぎ。車通りもなく、自分以外には車どころか人影も見えない日曜日の道路。そこでもう一度信号が赤になるまで、沙綾はぼんやりと東の空を見つめていた。

11:名無しNIPPER[sage]
2018/12/16(日) 22:08:18.70 ID:p7hexEOn0

『口に出せないなら僕は一人だ　それでいいからもう諦めてる』

　聞いたこともない歌だった。ただ、透明感のある歌声が少し耳に心地よかった。

12:名無しNIPPER[sage]
2018/12/16(日) 22:09:07.72 ID:p7hexEOn0

◆

　少しだけ遠回りをした。

13:名無しNIPPER[sage]
2018/12/16(日) 22:09:45.00 ID:p7hexEOn0

参考にしました
ヨルシカ　『ただ君に晴れ』
https://youtu.be/-VKIqrvVOpo

14:名無しNIPPER[sage]
2018/12/16(日) 22:10:26.86 ID:p7hexEOn0

山吹沙綾「愛してると言われたら」

15:名無しNIPPER[sage]
2018/12/16(日) 22:11:07.98 ID:p7hexEOn0

「さーや、一緒に帰ろ！」と香澄が言う。

「うん、いいよ」と私が応える。

16:名無しNIPPER[sage]
2018/12/16(日) 22:12:21.45 ID:p7hexEOn0

「さーや、好きな人とかいないの？」

「まぁ……そうだね。あんまり男の人の知り合いもいないし」

17:名無しNIPPER[sage]
2018/12/16(日) 22:12:48.03 ID:p7hexEOn0

「も、もーっ、さーやってばなんか変な笑顔になってるよ？」

「あーごめんごめん。やっぱりさ、友達のそういうコイバナみたいの聞くとついね？」

18:名無しNIPPER[sage]
2018/12/16(日) 22:13:31.05 ID:p7hexEOn0

「さーや、一緒に帰ろ！」と香澄が言う。

「うん、いいよ」と私が応える。

19:名無しNIPPER[sage]
2018/12/16(日) 22:14:12.39 ID:p7hexEOn0

「それにね、あっちゃんってたまに有咲みたいな感じになるんだ！」

「有咲みたいに？」

20:名無しNIPPER[sage]
2018/12/16(日) 22:14:47.73 ID:p7hexEOn0

「さーや、一緒に帰ろ！」と香澄が言う。

「うん、いいよ」と私が応える。

21:名無しNIPPER[sage]
2018/12/16(日) 22:15:32.59 ID:p7hexEOn0

「やっぱり許されないことなのかなぁ？」

「世間一般じゃまだそうだろうね」

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