過去ログ - 【オリジナル・安価&コンマ】宇宙を駆ける者たちの物語
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21:名無しNIPPER[saga]
2019/01/21(月) 23:19:15.82 ID:OBu1iGxQ0
月のとある都市に、一隻の輸送船が着艦しようとする。艦は減速し、ガイドビーコンに従って前に進んでいく。

「着艦用マニピュレータ、接続します。接続まで5…4…」

ゆっくりと動く船体に、二本の棒が近づく。少しでもずれれば大惨事だが、AIのサポートのお蔭でそんな心配がないのは有難いことだ。

「2…1…輸送船ノア、着艦」

ガコン。

そんな音を立てながら、ノアは着艦した。

流れるようにボーディング・ブリッジ――搭乗橋――が繋げられ、乗客たちは外に出ていく。

「…フゥー。これで今回の仕事は終わりだな…」

髪を掻き上げ、操舵手――リヒト――はドリンクを飲む。疲れた身体に冷たい水が沁みていく。

「じゃあ、俺はちょっと出掛けてきます。後はよろしくお願いしますね」

「おう。明日には交代なんだからな。忘れんなよ」

「分かってますよ」

手を振り、リヒトはブリッジを出る。今いるのは地表から離れている港のため、重力は殆ど無い。

エレベーターを経由し、搭乗員用の搭乗橋へと進む。壁面に浮かぶ光学映像には、月面とそこに広がる都市群が映っている。

数ヵ月ぶりに帰ってきた故郷。代わり映えしないその光景を見ることで、その帰ってきたという実感が出てくる。

リーゼは、妹は元気にしているのだろうか。緊急の連絡が来ていないということは、病態が悪化していないのだろうが、心配だ。

ふと反対方向の宇宙を見ると、ザム――数合わせの安物ARM――が貨物の搬入、搬出を行っていた。

仕事熱心だと感心しながら、リヒトはリニアトレインに乗るべく、先を急いだ。


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