過去ログ - 【オリジナル・安価&コンマ】宇宙を駆ける者たちの物語
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742:名無しNIPPER[saga]
2019/02/19(火) 16:47:20.45 ID:z/PNsai40
「…でも、ここに入れられるなんてよっぽどのことでしょう?何故、そんなことに…」

リヒトは素直に疑問をぶつける。ごもっとも、とカルティエはその疑問を肯定し、話を続ける。

「まあ、独房入りの事情を説明するには、私の過去を知ってもらう必要があるわね」

「私は東亜連盟の月面都市『サイレント・シー』出身なの。…子供の頃に両親が蒸発して、すぐに孤児になったのだけど」

「子供だから当然、働くことなんか出来ない。その辺りはキッチリしてるのよ。だから、犯罪に手を染めた」

「とは言っても、荒事は苦手でね。…やってきたのは『売春』や『窃盗』ね」

「…では、その経歴が明るみに出たから収容されている、と?」

「簡単に言うとそうなのだけど、それまでにも経緯があるのよ。これの入手方法とか…ね?」

そう言って、前回と同じように胸の間から身分証を取り出す。本当にデカいな。

「そうやって犯罪を繰り返して生きてきたわけだけど、ある転機が訪れたのよ。…考えてみれば、罠とも言えたわね」

「ある日ふらふらと街を歩いていたら、事故で女性が死んじゃってね。その時に、この身分証を盗んだの」

「…カウンセラーをしているのは、これを持っていた人がそうだったから。でも、それが原因でバレたのよね」

「あの眼鏡ですか」

「半分正解。正確には、あの女の子よ。エリカ…だったかしら」

「…どうやら、持ち主は軍人のカウンセリングをしてたみたいでね。そのことを追求されたら、私の嘘なんて簡単に見破られるわよ」

「で、今までの悪事が知られて『そんな人を住ませるわけにはいかない』って弾かれて『正当な処分を下す』って、今は月まで護送中なワケ」

「…その結果『ノア』で人間らしく生きる夢は断たれたの。『そんな罪人に人らしく生きる価値など無い』って、スーツ男に言われたの」

言いたいことを言い終えたのか、それっきりカルティエは口を噤み、ベッドに転がった。


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