過去ログ - 【オリジナル・安価&コンマ】宇宙を駆ける者たちの物語
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779:名無しNIPPER[saga]
2019/02/20(水) 00:08:17.93 ID:lnG/USGO0
「カルティエさんは、それほどに重い罪を犯したのですか?」

「はい?」

「殺人とかをしたならともかく、窃盗や売春で、しかも生きるために仕方なく行ったのであれば、減刑をする余地はあるんじゃないですか?」

「…申し訳ありません。それを私に訊く意味は無いと思うのですが」

「私は役人ですよ?裁判員でも警官でもない。規定に則って、罪人を然るべき処罰を与えるために、護送しているに過ぎません」

言われてみれば、彼が直接何かした、ということは聞いていない。独房への収容だって、犯罪者であれば当然の措置だ。

「…減刑だとか情状酌量だとか言われましても、私が刑罰を与えるわけではないので、それを私に言うのはお門違いというものです」

「うぐ…」

正論をぶつけてくるジェキット。だが、こちらも後には退けないのだ。

「…先に言っておきますが、過ちを犯しているのは彼女ですよ?」

「生きるために仕方なく…別にその時点で何か言うつもりは無いです。そういう人がいることも、役人として戸籍管理をしていれば知っていますので」

「問題は、そこから更に戸籍を偽装する犯罪を重ねたことです。罪に罪を重ねたならば、どうしようもない」

「…犯罪者だって、更生して社会に貢献しているのは知っているつもりです。私が『価値が無い』と言ったのはそこにあります」

「…と、言いますと?」

「『生きるため』と正当化しながら、罪を重ね続ける人に価値がありますか?ああいうのは一度、現実を知って考えを改める必要があるんですよ」

「そうすれば、嘗ての罪人は死んだも同じ。『どうするべきか』を知った新しい自分なら、真っ当に生きていけるはずです」

「私は『柔軟な対応は出来ない』と言ったでしょう?一度こうすると決めたら、曲げられないのですよ」

真っ直ぐこちらを見つめ、不敵に笑むジェキット。彼にも、彼なりの考えがあるようだ。

そもそも、自分が間違っていたのかもしれない。彼が言う通り、ジェキットに訴えるのに意味は無かった。


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