153:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/10(日) 21:25:03.21 ID:W/pEztXNo
・ ・ ・
「方向性?」
ソファーに腰掛けながら、正面に座る人に問い返す。
ぼくよりも、かなり身長の高いその人は、
座っていてもどうしても見上げるような形になる。
その人――プロデューサーサマは、はい、と短く言って、
「貴女は、どんなアイドルになりたいと考えていますか?」
そんな事を突然聞かれても、すぐには答えられない。
だから、少し考えて、
「……売れるの」
なんて、尊さの欠片も無い答えを返した。
「……成る程」
噛み合わない会話。
ぼく、ちょっとコミュ障入ってるけど……この人も割とそうじゃない?
あんまり、お喋りするようなタイプには見えないし。
いやまあ、この顔でマシンガントークされても困るけど。
「プロデュースの方向性は、お任せして頂ける……と?」
この人は、シンデレラプロジェクトをプロデュースした人だ。
だから、全部任せておけば大丈夫……だと思う。
大手プロダクションだし、ぼくの知らない範囲もあると思う。
あっ、でも――
「――……ういっす、そんな感じで」
――やめとこう。
せっかくの人生逆転のチャンスなんだもん。
それなのに、神の判断に口を挟むとかナイナイ。
「……そうですか」
はー、やむ。
今日の夜は、ポエろう。
「では――グラビア撮影は、極力控える方向で良いでしょうか?」
……はっ?
「えっ?」
……なんで?
「売れるの、というご希望を叶えるのに、少し時間はかかりますが……」
こちらを見るプロデューサーサマの顔。
ぼくは、それをアホ面で見続けた。
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