過去ログ - 【オリジナル・安価&コンマ】宇宙を駆ける者たちの物語Part2
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801:名無しNIPPER[saga]
2019/06/02(日) 12:16:28.05 ID:xGLr8w5q0
「…あー、えっと。そういえば、前に買ったヘレンはどうするんだ?『バルキリア』に組み込むの?」

「え?…あぁ。なんか言ってたわね、そういえば」

「インストールの手順くらい分かるでしょ?勝手にやっといて…」

基本的に、ビット兵器の制御にはAIを用いる。一部の物はその限りではなく、脳波等を用いる場合もあるが。

キュウビが持つドローンユニットとパルスレーザー内蔵バインダーのような、単純な機能しか持たない場合は然したる問題ではない。

しかし、多機能、高性能になっていくにつれ、制御するAIの処理能力や、大容量のデータ通信が必要とされる。

今回『バルキリア』に搭載されるビット『トラペジアソードビット』も、複数の同時運用で攻撃、防御、粒子増幅といった、様々な機能をその都度選択しなければならない。

故に、ビット制御の問題をクリアすることは、改造にあたっての絶対条件だった。

それを解決するのがヘレンもとい『HELEN』。初期設定では最低限のことしか出来ないが、学習能力は他の追随を許さず、加速度的に機能を増やしていくAIだ。

よって、組み込んだとしても最初のうちはあまり役に立たない。が、ある程度運用していくと、急に性能が上昇する。

昨今の世界情勢は芳しくなく、宙賊と正規軍、国家間の小競り合いがそこかしこで発生している以上『戦うほどに強くなる』このAIは極めて有用である。

尤も、生き延びることが出来れば、の話であるが。

閑話休題。

「分かった」

そう答えたリヒトは外部操作でコックピットハッチを開放し、乗り込む。内装がかなり変化しており、嘗ての様相は影も形も無い。

リニアシートは最新式の耐G加工が施されたもので、どういうわけか、トイレが内蔵されていた。

全天周囲モニターも新型に変更され、より解像度も増した。

そして、リニアシート前に設置されていた小型モニターは増設、操縦装置もバージョンアップが施され、色々とスイッチや操縦桿が増えている。

「随分と金を掛けたな…。おっと、これか」

モニター上部の差込口に、チップを入れる。自動的にシステムが立ち上がり、インストールが開始された。

『…半年ぶりね。私を放っておくとは、いい度胸だわ』

「それは失礼。じゃあ、同期を始めようか」

『…ちょっと待って。何、このARM。アクセスしてもブロックされるんだけど』

「え?」

『いやね。武装とかはまだいいのよ。ただ、内部のデータがブラックボックス化されてるみたいで』

「…解析とか出来ないのか?」

『無理。プロテクトが頑丈過ぎる上に、スパゲッティコード状態よ。それに、悍ましい桁数のパスコードが設定されてるから、私じゃどうしようもないわ』

「なら、放置でいいんじゃないか?」

『悔しい』

AIが悔しがるのはいかがなものか。そう思いながら、リヒトはシステムを待機モードに移行させた。


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