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111:本能寺の恋[sage saga]
2014/10/17(金) 17:20:37.70 ID:bug6hAgWO
華奢な見た目とは裏腹に、あの子はとても強かった。

いつも前向きで、どんな困難が立ちはだかろうとも真っ直ぐ進んで行く。

決して後ろを振り返らない。だから私が知っているのは、あの子のあどけない横顔か、頼りない後ろ姿だけ。

それでも彼女が好きだった。ずっと隣に寄り添って支えていくことが出来たらと、そう思った。

けれど過ぎ去る激動の日々。強敵との出逢いを経て、彼女はひとり、またひとりと仲間を増やしていく。

真正面からぶつかり合って、融け合って。そしてみんな、あの子を好きになっていく。

私は焦る。気付いてしまう。

誰より近くに居た筈の自分だけが、彼女の最も熱い部分に触れることすら出来ていない。

(隣に居るだけでは、いけないのね)

長い年月をかけて、ようやくそれに気が付いた私は。

その日、とうとうあの子の敵となる決心を固めた。

(これで私のこと、正面から見てくれるかしら──)

かくして物語は本能寺にて幕を下ろす。

『だいすきだよ』

バカなことをしたと、今でも思う。

「私も大好きです。信長さま」

うつけ者とは、どうやら私のことらしい。


-了-


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