19:欠落 1/4[sage]
2014/09/22(月) 00:34:50.69 ID:oaz7O2EqO
双子の姉が事故に遭った。何とか命は助かったけれど、体の方は使い物にならないらしい。
臓器も骨も、筋肉も神経さえも。体の殆ど全てのパーツが人工の物に入れ換えられる大手術の末、彼女はようやく一命を取り留めた。
「ようやく退院ね」
綺麗に整頓された病室で、ぼんやりと黙り込んでいた姉に声をかけた。
返事はない。ただ、ぎこちない笑みが返ってきただけ。
きっと不安なのだと思った。表面上、姉は事故に遭う前と殆ど変わらないように見えて。けれど、前とは何もかもが違うのだ。
心を融かすような、暖かい笑みも。触れ合う手のひらから伝わる、体温も。柔らかな唇の感触も。艶のある長い髪も。
全部が全部、まがい物。故に私の目の前に居るのは、まがい物の姉なのだ。
私の愛した姉。私と愛し合った姉は、もう居ない。そんなこと、ずっと前から知っている。
そして、誰にも話したことはないけれど、姉を取り戻す方法が一つだけあることも、私は知っている。
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