【艦これ】大鳳「衣食住に娯楽の揃った鎮守府」浦風「深海棲艦も居るんじゃ」
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◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]
2015/11/28(土) 11:04:08.66 ID:696lXeHP0
私が不覚にも惚れてしまった相手は口が悪い。
口喧嘩してしまうことも多々あり、デ―ト中に一切会話が無い時間が出来ることも少なくない。
切っ掛けはほんの些細なことで、次の日には忘れている様なレベル。
――そんな関係が、私にはちょうどいいらしい。
「……」
「……」
無言で劇場までの道を歩く二人。これからオペラを見に行くところなのだが、どちらからも楽しみにしているという様な雰囲気は見受けられない。
互いに視線を合わそうともせず、ひたすらに歩を進めていく。
(はぁ……何時もより気合い入れたっていうのに、無反応とか冗談じゃないっての)
イブニングドレスに身を包み、暁がなりたいと願う一人前のレディーそのものといって差し支えない気品を纏(まと)っている飛鷹。
髪や化粧、その他諸々の準備を含めると、彼女はこのデ―トの為に実に六時間も費やしていた。
それ故に、鎮守府の入口で合流してからタクシーに乗り、渋滞を避け近場で降りて歩き、劇場が視界に入った今に至るまで、およそ一時間半もの間無反応というのは飛鷹には色々な意味で耐え難かった。
(……何時もなら、馬子にも衣装ぐらいは言ってくれるのに)
拗ねた様な、寂しげな視線を隣を歩く男の横顔に向ける。
想いが通じ合っていればいついかなる時でも相手の考えが全て分かるなどというのは幻想であり、そこから何を考えているかは彼女には読み取れなかった。
「――手」
「きゅ、急に何よ」
「いいから手出せ」
訳も分からぬまま言う通りにした飛鷹の手を取り、提督は再び歩き始める。
そして少し歩くと、すぐに彼女にも何故彼が今そんなことを言い出したのかが理解できた。
「落ちそうになったらちゃんと支えてよ?」
「いいから前見てしっかり歩けアホ」
何てことはない普段通りのやり取り。しかし、だからこそ彼女には嬉しくあり、繋いだ手をギュッと握りながら自然と笑みを浮かべるのだった。
――――気の利いた言葉は出てこんし慣れない靴と服のせいかお前の歩くスピードは遅いし変なのが居ないか周りは気になるしお前は人の顔見て前見てないし大変だったんだよこっちは。
――――だったら階段以外でも手を握るなり腕を組むなりすれば良かったじゃない。
――――……うるさい、察しろ。
――――んー? 何々?
――――マジでやめろ、踏み外して二人で転げ落ちかねん。
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