【艦これ】大鳳「衣食住に娯楽の揃った鎮守府」浦風「深海棲艦も居るんじゃ」
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◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]
2015/12/13(日) 16:38:29.74 ID:nX7BHkNv0
握る。手綱を握る。把握する。握り潰す。人心掌握。
“握る”という言葉にも多様性が存在する。
――では、彼女が真に願う、待ち望む、“握る”とは何なのだろうか。
「俺が悪かった。悪かったからこの方向性は勘弁してくれ」
「美味しくなかったの?」
「不味いとは言わない。が、好みじゃない」
イチゴ、キウイ、オレンジ、桃、メロン。
フルーツの盛り合わせの様なラインナップが盛り付けられているのは器ではなくシャリの上であり、皿の上には色鮮やかな寿司が並んでいた。
(ちょっと珍しいのが食いたいとか言うんじゃなかったな)
「出来れば、どういうものが食べたいか言って」
「そうだな……炙りとか漬けとかそういうタイプの寿司にしてくれ」
「うん、分かった」
「それにしても、本当に寿司まで覚えてくるとは思わなかったぞ」
「握るの、好きだから」
(赤城が連れてきた時は多少心配もあったが、もう大丈夫だな。別の意味で心配はあるが……)
最初は無機質でどこか儚い表情を浮かべていた雲龍。良くも悪くも刺激的な毎日に、柔らかな笑みを浮かべるちょっと天然な優しい艦娘となっていた。
「――提督」
「何だ?」
「お願いを、聞いて欲しいの」
「艦載機か? それとも包丁か?」
今までは大抵その二つだったのだが、雲龍は首を横に振り違うと伝える。
思えばその二つしかねだられたことが無かった為、提督は何を望んでいるのか見当が付かず、首を傾げた。
「――手」
「手?」
「手を、出して」
提督は言われるがままに手を前に出し、彼女が動くのを待つ。
ジッとその手を見つめた後、雲龍はただ静かに彼の手を握った。
「ずっと……ずっとこうして握っていられたらいいのに」
「……なぁ、雲龍。改めて聞くが、俺はただの節操無しの強欲でワガママな人間だ。それでもいいのか?」
「私は、もう多くを貴方に貰ったもの。他の誰でもない、貴方の艦娘で居させて欲しい。嫌だと言っても、もう握って放さないから」
「その頑固さは、誰に似たんだろうな」
「さぁ、誰かしらね」
彼女の“握る”は、思いを伝える手段であり、願いそのもの。
彼女の手から伝わった思いはとても暖かく、大切なモノを守りたいという強さで溢れていた。
――――ここを握ればいいの?
――――そこは握らんでいい!
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