【R-18】由比ヶ浜結衣はレベルが上がりやすい
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364:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage saga]
2015/11/08(日) 21:39:16.04 ID:FwRKI0Dw0

「あの子、今はあんな見た目だけど鈍くて恋なんてしたことなかったのに、その一番最初でこんなに辛い思いをしているなら、これからどうなってしまうんだろう……十何年も一緒に暮らしてきて、あの子のことは誰より分かって近くにいるのに、何かしてあげたいのに、何も出来ないのが歯痒くて」

そう、近い存在なら救える、何かしてあげられる……それは絶対ではない。
どれだけ長く寄り添い合う存在でも、結局は表層的な反応を印象に焼き付け、深層にあるものは想像するしかない。
近しい人間を赤の他人より多く助けてやれるとしたら、それは経験則で行動や心理のパターンを予測し対応しているに過ぎない。
そしてそれが現実の中で起きていることなら、読み切れない乱数は何処かで必ず発生する。
だから家族だって喧嘩するし、仲睦まじかった筈の恋人達がふとした誤解や思い込みで別れることもあるだろう。
人はどれだけ見識を深めても主観から逃げることは出来ない。俯瞰で他人を見定められる人間なんて存在しない。

それはきっと俺の憧憬する大人達でも例外ではなく、由比ヶ浜親子ですら……これはそういう話なのだ。
今朝俺が感じた比企谷家の距離感と似ているようで、それはもっと深くて重い。

「……だからヒッキーくんがお見舞いに来てくれて部屋から結衣を連れ出してくれたとき、またあの子からヒッキー君のお話を聞けるようになったとき、あの子にとっての王子様が現れてくれたんだって、私は大きな荷物を降ろせたんだって思ったから……だから、ありがとう」

そして、再びママさんは頭を下げた。
十何年分の重み、その最後の負荷が彼女の背を曲げさせたのだ。だがそこに苦しみや疲れは見えない。
俺にはまだ実感しようがないが、きっとそれは充実感と解放、その両方に起因した喜びなのだろう。



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