31: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 19:44:19.98 ID:4yJ+Tv6jO
無言で、隣のブランコに座った。
「あゆむ、何か隠してる」
「……」
「何も教えてくれないんだ」
怒ったように言った。
やすはの方を見ることはできなかった。
「……やすは、私」
続く言葉は、諦めに飲み込まれる。
やすはに相談したところで、変人扱いされるだけだ。
「ごめん、自分でもよくわからなくて」
「……旅行、私と同じ班だから。ほんとは、みやちゃんとが良かったんじゃないの?」
「なんでさ、違うよ」
私は、見当違いなやすはに素っ気なく返してしまった。
ほら、わかっちゃいない、と。
「じゃあ、なんで帰る時、全然笑ってくれないの」
やすははそう言って、立ち上がった。
ブランコの錆びた鎖がいやいやするようにひるがえった。
ガチャンガチャンと耳に残る。
彼女は、かばんを掴んで、
「私は……嬉しかった」
そう言って、背中を向けたまま去っていった。
130Res/101.95 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20