アルビノの女「……いくらですか」黒髪の娼婦「お気に召すまま」
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◆aUbK72/AnA
[sage]
2016/06/29(水) 23:41:57.17 ID:0PPGCbq30
娼婦「まあ。失礼な人。……ふふ」
女「上客に向かって、その口の利き方はないでしょう。……くふっ」
娼婦「……それじゃあ、そうね――――」
隣席の娼婦はそっと身を乗り出した。伸びかけている右指の爪先を、女の白い首筋に立てた。
品のある甘い芳香が、女の鼻腔をくすぐった。少しだけ食欲が失せて、代わりに腹の底が熱くなるのを、彼女は感じた。
女の首筋を、紅い爪先が掻いた。微かな赤色が色鉛筆のように引かれた。女は引き攣るような声を少しだけ零したが、直ぐにそれは厨房で跳ねる油の中に溶けていった。
やがて染み出す瑞々しい紅を、娼婦の指先が潰すように掬う。紅い唇から伸びる紅い舌先で、娼婦は紅い指先を舐めた。
娼婦「……ふふ、おいしい」
女「吸血鬼じゃないんですから。……食前酒にはなりましたか、カーミラさん」
娼婦「そうね。もう少し、欲しいかな」
言葉通りに、娼婦はまた身を乗り出した。そうして指先をまた伸ばした。
また爪を立てて、しかし先ほど作った傷より少しだけ下に、新たな証を刻んだ。後は、語るべくもない。
女「……ふうん。随分、私は気に入られたようで」
娼婦「だって、上客なんでしょう? 予約くらい、させてもらわないと」
女「それは客のやることです」
娼婦「知いらない。それは、私の決めることよ」
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