【安価&コンマ】花村「ありとあらゆる肉体を貪りつくすよ!」6
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◆yrrWowwxP2
[saga]
2018/04/04(水) 22:04:17.18 ID:lGRxDF4ko
小ネタ#嘘だったらよかったのに
私には、お姉ちゃんがいた
小さい頃から向こう見ずで、一つの事に夢中になって失敗して、どうしようって困って泣く、そんなお姉ちゃん。
お姉ちゃんを慰めるうちに、私は人の困っている事や心のつかえをとるのが普通よりもずっと上手になっていたらしい。
気づけば、ネット越しに助けを求める人がたくさんいて、その人達を癒すことに毎日のほとんどを使うようになって
超高校級のセラピスト……なんて、呼ばれるようになっていた。
そんなある時、メールでしか対応しないと言っているのにかまわず電話をかけてくる姉から着信があった。
「美彩……あの、ちょっと、相談したいことがあってね……」
「……私と話すなら、メールかチャットでって……前も言った……」
「ごめんね、そういうので外に流れたらと思うと怖くて……あの、あのね……」
しばらく、もごもごと要領を得ない状態が続いた後、ようやく姉は決意を固めたようにごくりと喉を鳴らした。
ここまでの声と彼女の戸惑いの秒数から、私は電話越しに彼女が本気で何かを伝えたいことを理解していたので、冷静にそれを聞くことができた。
「……私、子供ができたの」
「……結婚したって聞いてない。黙ってたの?それとも、結婚せずに?」
「もう、家庭のある人なの……だ、だって、私……」
「お姉ちゃん、まずは、落ち着いてね」
「美彩……どうしよう。お父さんとお母さんに言うべきよね?で、でも、嫌よ。私、一人で何でもできるって言っちゃったから……」
姉は続けて、ボロボロと泣き言をこぼしていた。
私はそれを、相手に聞こえるように「うん、うん」と、声で相槌をうっていた。
……姉は、よく失敗する。人の指示を聞きながらだと器用過ぎるほどなのだけど、その相手を間違うことがよくある。
しょうがない事だとおもう。人は誰だって失敗する。特に、他人の見極めなんて、そう簡単にできる事じゃない。
そして、教えたり指示を出す方だって、それ自体を間違える。
私たちの両親は、悪人ではないけれど間違えてしまう人で、特に最初の子育ての相手だった姉の事はよく間違えてしまっていた。
だけど、間違いを犯された姉のほうはたまったものじゃなくって、ほとんど喧嘩別れ同然の形で彼女は家を出てしまった。
それ以来、姉は実家には連絡を取っていない。
私には他愛のないメールが良く来る。
相談事は、ほとんど来ない。私にも弱みを見せないように、一人頑張っているんだろう。
それが、この日は本当に切羽詰まった内容で、一人で抱えきれなかったようで、長々と、おなかの子についての話とこれからの不安を語っている。
「……まずは、産むかどうかを、ちゃんと考えようか」
「……うっ ぐすっ……産む…… お、おろせって、言われたけど……でも……」
「そうしたいんだよね?」
「うん……」
「自分の気持ちがわかっているなら、大丈夫。本当にしたい事を大事にして、現実との折り合いは後から付けた方が、お姉ちゃんらしいよ。
何をしたいかが判ったら、やっておいた方が良い事が見えてくるでしょ?一気に全部はできないものだけど、気づいたことからやっていこう?
そこで困ったら、そういうことに詳しい人に聞いたらいいんだよ。大丈夫、お姉ちゃんはヒントさえ合ってればうまくできる人だって、私しってるから」
「ありがとう……そうよね、方向が決まったら、やることは判るもんね……グスッ 頑張る」
普段、自分用の研究室に引き籠っていて、人としゃべる時すらメールや画面越しの私にとっては、少し喉が辛かった。
けれど、しっかりと決意を持った声を聞けたから……私はそれでよかった。
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