【安価&コンマ】花村「ありとあらゆる肉体を貪りつくすよ!」6
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429: ◆yrrWowwxP2[saga]
2018/07/31(火) 18:53:53.77 ID:wOpga0P/o
小ネタ#心を入れ替える


夕焼けで赤く照らされた児童公園
細長く、きっぱりと黒い、長い長い影法師が二つ並んでいる。

夢を見ているのはわかっている。これは夢だ。

半壊した砂の城を、俺と盾子が並んでみている。
砂の城を挟み込むように、細長い影法師が二人分並んでいる。


「やすけくん」


少し離れているはずの盾子の声が、影も近づいていないのに耳元で聞こえる。
子供の時の声にも聞こえるし、今の盾子の声にも聞こえる。


「わたしがいるからね。どんな風になっても、わたしがいるからね」


視線を隣に向けることはできなかった。
嫌な事を考えている。夢だとわかっているのにこういうことを考えてしまうとその通りに夢が動くことを俺は知っている。
脳の情報整理の過程に思考が混ざり込むと、その思考を反映した夢を見てしまう。
俺は自分が何を考えているのか知っている。きっとそのことが反映された夢を見てしまう。
反映された事象が、都合の良い結果になる夢を見てしまう。


「こっちを見てくれないの?」

「……俺は、お前が心を入れ替えることを望んでいる」

「今の私じゃ不満ってわけ?心外ー、松田くんってば結構ひどい事いうのね〜」

「今のお前だと、俺のそばには居てくれないから」

「ふーん?いっしょに堕ちちゃえば解決する話なのに?」

「そうなった時にどうなるかは予測がついているからな。俺は、お前と生きていたいのに。きっと今のお前じゃそうはさせてくれない。だから」


だから、どうするのか。
夢も中の俺は、一歩前に進んで崩れた砂の城をけり崩して、ただの砂にもどした。



脚がわずかに動いたせいか、意識が一気に現実側に戻される。
研究室のベッドの上で、薄い毛布にくるまっている事を自覚する。

毛布の端をにぎって、夢の中で考えていたことを明確に意識する。

記憶を積み重ねて人格が成熟し、その動きを心と呼ぶのだとすれば、
心を入れ替えるには絶望にこそ希望を感じる彼女になる経緯を消しとばすしかない。

心を入れ替える、という言葉は、心の仕組みを脳という観点で考える俺には容易く口にできないものだ。
人を作り替えるのと同義だという事を理解している以上、それを考える事すらおぞましいと言ってしまってもいいだろう。























それでも、俺は"それ"を望んでいる。


心を入れ替える/終



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