25:名無しNIPPER[saga]
2016/07/21(木) 21:09:58.03 ID:9YFGcPxU0
第15話 魔王城の罠
魔法使い「しかし……見事に魔物がいないな……ここは本当に魔王城なのか?」
いつまでも景色の変わらない迷宮を歩き疲れた魔法使いは、うんざりといった様子でそうこぼした。
戦士「確かに、これだけ何もないと不自然ね。 敵の本拠地だっていうのに……」
戦士はどこか思案顔である。
勇者「……敵の罠か?」
勇者の発言に皆が足を止めた。
魔法使い「罠? どんな?」
勇者「幻を見せる呪文の中にとらわれている、もしくは広大な土地を利用した消耗戦……ほかにもいろいろあるが、できる範囲で一つずつ潰した方がよさそうだな」
勇者がそう言うと、その手に持っていた王者の剣が光の塊となり、大気にほどけるように光の帯となるとふくろの中に消えて行った。
そして勇者はそのまま手をふくろへかざす。
勇者「破邪の剣」
ふくろから先ほどの光景を逆再生するように一本の剣がその手のひらに召喚された。
破邪の剣を手に持った勇者は、それを天高く掲げる。
すると刀身が輝きだし、光があふれだすと辺り一帯を一瞬の間覆い尽くした。
僧侶「……変化ないね」
僧侶は何も変わらない現状に素直に言葉をこぼす。
勇者「幻呪文の類ではないってことか、次だな 風刃の剣」
勇者はそう言って、ふくろから風刃の剣を取り出し、空いた手に構えた。
魔法使い「待て勇者、俺も手伝うぞ 星鳴の杖」
勇者の取り出した武器から次の行動を察した魔法使いは、手に持った金剛の杖をしまうと、星鳴の杖を取り出す。
魔法使い「魔力を極力温存ってことだよな?」
勇者「……俺の後ろを頼む、戦士と僧侶は何か変化がないか観察していてくれ」
魔法使い「あいよ」
僧侶「うん」
戦士「ええ」
勇者「行くぞ」
合図とともに勇者は前面に右手に持った風刃の剣を掲げ、魔法使いは反対方向に星鳴の杖をかざした。
剣から放たれる烈風が、杖から放たれる爆発が、かざした延長線上を突き進んでゆく。
しかし何の変化も確認できなかった。
勇者「ちっ」
勇者は間髪入れずに、左手に持った破邪の剣をかざす。
呪文効果を打ち消す光が一帯を照らすが、それでも何の変化も観測できない。
魔法使い「……わかっちゃいたが、傷一つつかねぇな」
壁どころか光源であるランタンにも傷一つつかない事実に、魔法使いは苦笑した。
不意に闇が視界を覆い尽くした。
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