43:名無しNIPPER[saga]
2016/07/26(火) 23:06:13.08 ID:+CnevAV/0
第19話 仲間と世界と仲間
戦士「一度引き返しましょう」
僧侶の遺体をふくろにしまい、ひと段落つけた後、戦士は言った。
勇者「!」
戦士「こんな状態で魔王に挑むなんて自殺行為だわ、今すぐ引き返すべきよ」
勇者「……戻ってどうするつもりだ?」
戦士「!?」
勇者の返事に、戦士は目を見開いた。
勇者「僧侶は死んだ、戻れば代わりの僧侶がまた現れるのか? いやそんな事は今までなかった、どうなるかなんてさすがのお前だってわからないはずだ」
戦士「私はそういう話をしているのではないの、彼女をしっかり弔ってあげたいし、何よりこのまま魔王に挑んであなたに勝算があるの?」
勇者「今までの勇者達だって、犠牲がなかったはずはない。 今回の僧侶の死が魔王の攻撃だとすればなおさらだ。 だが、魔王城に入って戻ってきた勇者パーティーはいない、つまり、負けると決まったわけじゃない」
戦士「……あなたが何を言っているのか私にはさっぱりわからないわ。 私は今の話をしているのよ、一度戻って体制と対策を練り直すべきよ」
勇者「こうしている間にも罪もない人たちは魔物に苦しんでいるんだ。 その上俺たちが魔王城から引き返してみろ、人々の不安は計り知れないぞ」
戦士「ほかの人を理由にしないで、要はあなたの体裁の問題なのでしょ?」
勇者「……なんだと?」
戦士「あなたのそのくだらないプライドに付き合って死ぬ気はないといったのよ」
勇者「違う! 俺はそんな 」
魔法使い「もうやめろ!!!」
壁に背を持たれ、赤くはらした目で天井を仰いでいた魔法使いは、そう叫んだ。
魔法使い「喧嘩すんな、僧侶が悲しむ」
勇者・戦士「……」
魔法使い「俺は……勇者に賛成だ」
戦士「!」
戦士は信じられないといった表情を浮かべる。
魔法使い「僧侶をこんな目に合わせた魔王を、一秒だって生かしておけない、……俺が耐えられない」
憎しみによどんだ瞳で、魔法使いは戦士を見つめる。
戦士「……ッ」
その瞳に、戦士はどこか諦めたように脱力した。
戦士「……わかったわ……どうにも旗色は悪いようね」
魔法使い「無理強いはしない……けど……一緒に戦ってくれると助かる」
戦士「私だって人間よ、一緒に冒険した仲間を放って一人で帰るなんてできない」
戦士はそう言って横目にちらりと勇者を見た。
戦士「ただ……僧侶の冥福は祈らせて、きちんと悼んであげたいの、それぐらいの時間は許してくれるでしょ?」
戦士の言葉に、勇者は言葉なくうなずいた。
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